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インドネシアのジュエリー物語

2015年10月から始まったインドネシアからのモノ作り「ジュエリー」。この連載ではジュエリーづくりの向こう側を、携わる様々なメンバーたちが、ありのままの姿でお伝えしていきます。

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第6回 インドネシアのジュエリー物語

箱につめた思い

2015.11.17

“贈る人の気持ちが、100%伝わりますように”
そんな思いをたくさん詰め込んだ
ジュエリーの「木箱」ができるまでのお話です。

6月のある日の夜、ジョグジャカルタで。
私たちにはもう一つの非常に大きな任務があった。
それはジュエリーを入れる「箱」だ。

常々、ジュエリーには、
とてもラッピングやボックスがとても大事だと思っていた。
箱の可愛さでなんだかテンションがあがったり、
さがったりもするとても繊細なものだから。
だからジュエリーをやると決めた本当に最初の段階から、
「どんなボックスがいいだろうか」と試行錯誤していた。

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最初は、シンプルにインドネシアの木の箱を作ってみた。
「うーん、なんだか田舎くさいなあ。」
インドネシアには様々な木があり、色もテキスチャーも豊富。
けれど、一度「加工」をすると技術が伴っていないために
なんとなく、あか抜けないものになってしまう。

次に“スズ”という金属で、
かなりモダンなテイストにしたらどうかとやってみた。
「うーん、アイディアはいいけれど、これ、、、重い・・・。」

「ナチュラルだけど高級感があるもの・・・、素焼きはどうだろう!?」
といってみた釜焼きの現場。
モノの善し悪しを判断する前に
とにかく釜がボーボー熱を発しているので「熱い・・・・。(汗)」

続いて遭遇した「アルミ」の工房。
「アルミか!いいね!」
そう思って、シルバーのジュエリーを置いてみたら
ジュエリーと箱が同化してしまい、まるで意味が分からなかった・・・・。

「竹なんかどう?!」
「竹から生まれたかぐや姫じゃないんだから。」
「藤だ!」
「藤?なんかちょっと、夏っぽくない?」

こんな感じで素材の宝庫だからこそ迷う選択肢がいーっぱい。
でもどれもしっくりこない。

そして私たちは結局、最初の工房に戻ったのだった。
これだけ素材の宝庫でも、やっぱり既成のもので使えるものは何一つない。
しっかりと世界に通用するものを作るには、
何度ものサンプル修正や手間暇がかかせないんだと痛感した。

「このサイズ、修正しよう。そしてこの厚さもっと薄く。極限まで。
そして木は必ずシタンの黒い中心の部分。シックにね。」
「形状は、四角じゃなくて、円柱に。」

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構造的に四角は丸よりずっと工程がかかるし、人の手の誤差も多くなる。
「丸い円柱を作る。でもすっきりとモダンに。鍵は、木の厚みだね。」

こんな風に、モノが作られる際の構造的な問題を把握してから、
デザイン企画があがることが実はマザーハウスにとってはとても大事。
ぱっと見、素敵なサンプルが出来上がっても、
量産するときに出そうな問題を把握することや、手作業ならではのズレは
どんなに頑張っても人が作るわけだから頭に入れておかないといけない。

箱のシェイプと同時に、とても強く思っていたことがあった。

「箱とかラッピングって、捨てられてしまうのはとても可哀想だ。」
ということ。

これはマザーハウスが起業当初から
既にお買い物袋にコットン袋を使っていることからも分かる通り、
私自身のポリシーみたいな部分。

パッケージは脇役だけれど、その素材にも命はあって、
脇役ならではのキラリと光る役割は絶対にある。
同時に、お客様にとってそれが「ゴミ箱にいくもの」よりも
日常生活の中で、ほんの少しでも役に立つものだったら
きっと嬉しいはずだよなあって思ったんです。

「後から何かに使えるものにしたい」とだからこの時も思っていた。
だから、細かいサイズを決めるときは、中のスポンジをとっても、
何か中に収納できる深さがあることや、
持ち運んだ時に見た目以上に重くならない厚さが大事だと思った。

サイズをオーダーし、サンプルができるのを待った。
それは全く違う木で完成されていた。
(ああ、もう指示したのに・・・。(でもこういうことは本当によくあるのであまり落胆しない))

そして更に「重い。やぼったいなあ。」ズバリと私はそう言った。

「もっと薄く。もっともっと!」

「割れちゃうよ。」

「割れる前の極限までやってみて。」

「うーん。」

「日本についたら割れているかもよ。」

そんな言葉を交わしながらも「チュボ!(トライ!)」の繰り返し。

そして再度のサンプル作成。

「できましたか?」と電話した。
「今日は職人がこないみたい。」
(がーん。)

限られた出張で効率よく動きたい思いは常にあっけなく打ち破られる。
何日かのイライラと焦りの後、私たちは再び工房を訪れた。目の前には
薄い円柱の木が二つあった。

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「ぎゃーーー!!かわいい!!!」
形状はなんとも言えない可愛らしい“お焼き”のような形をしている。
私は言った。「これ、おいしそう♪」

念願だったシンプルでモダンな木の箱がここに完成した。
ただそれだけでは満足しなかった。
「木にナチュラルな“ツヤ感”があったほうがいいなあ。」

オイル加工を施す現実的な方法を模索した。
実際に全ての生産工程をまとめてみると、
手間ひまとしてはジュエリーの生産と同じくらいの時間がかかる、
それ以上かもしれないなとも思った。
けれど、完成度を高めていきたいと思う気持ちを支えたのは、
「贈る人の気持ち」をすごく具体的に思い描いたことだった。

「クリスマスにさ、サプライズとかで渡すときに
単なる紙袋じゃなくてこの木箱だったらさ、なんだかとってもワクワクしない?
それにさ、この木から金やシルバーのパールが出てきたら、
なんていうか素材同士の個性がより引き立つよね」

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そんなことを現場で話していた。

中のスポンジをとると、なんとも言えないサイズの器になって、
ジュエリーの保管は勿論だけれど、他にも大事な小物が収納できて、
インテリアとしてもすごく可愛い。

「私だったら、薬入れるけどね。ビタミン剤とかさ、あははは!!」

「ジュエリーもらった箱にビタミン剤入れちゃうんですか!?
もうちょっとロマンチックな用途にしたらどうですか!」
と現場で一緒にやってくれた稲葉というスタッフから突っ込まれていた。

何はともあれ、現場ではビタミンも必要だし、
情緒からくるイメージ、クリエイティブも両方必要!

そんな木箱に、最後の最後、アイディアが加えられた。

それは、ギフトで選んでいただいた方が、相手のイニシャルを焼き印できるというもの。

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“贈る人の気持ちが、100%伝わりますように”

贈る人、贈られる人の絆をちゃんとつないで、
ジョグジャの元気いっぱいな木工職人さんたちと、
かわいく身につけてくれる人たちをもつなぐ、そんな箱にかけた思いでした。

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