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インドネシアのジュエリー物語

2015年10月から始まったインドネシアからのモノ作り「ジュエリー」。この連載ではジュエリーづくりの向こう側を、携わる様々なメンバーたちが、ありのままの姿でお伝えしていきます。

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第4回 インドネシアのジュエリー物語

職人さんはどこにいるんだろう

2015.10.19

街の中心部ではなく、田舎に車で訪問し、
聞き込み調査を頼りにはじまったので、私たちは途方もない道のりだと感じていました。

この時点では、ジュエリーを発売する時期を考えることすら
意味もないと思っていました。

何度か村へ訪問し、いくつかの確かそうな情報をつたいながら、
次第に近づいているように思えてきた時、ある小さな村にいきつきました。

151019_01

そこはあまりにも小さくて、
見知らぬ車がうろうろしているだけで怪しいと判断し、
そこから先はバイクに変えて。

ガソリンスタンドで飲み物を買いつつプチ聞き込みをしていた時です。

「その村だったら先を右に曲がって次を左に行って、また聞き込めばたどり着けるわよ」
と軽く言われたのです。

「ほんとう!」と思いながらも、
結局20キロ走ってたどり着いた村はごく普通の村でした。

でも、可能性にかけて、再度聞き込み調査。

村の入り口にある小さな建物から続々人が出てくるので、
なんの建物だろうと思ってよく見ると、
大手のシルバーショップの派出所のようなものらしい。
帰路に向かうと思われる男性を後ろからバイクでついていく。

しかし、さらに私の後ろからついてくるバイクを発見。
まるで監視されているように感じて薄気味悪くなり、
まずは男性の家の前をスルーしたものの、
先は田んぼ道でUターンするしかない状況に苦笑しつつ、
もう一回その男性の家の前を通り過ぎる・・・
その時に受けたねっとりとした視線は今でも忘れません。

気を取り直して違う道に入り、
農家っぽく見えない一軒に入ってみると、シルバー職人の家!

「あー!ついについに!!」

興奮したのですが、話をしているうちにベテランでないと
全ての細工をマスターしていないこと、
そして銀職人というのがそうした細分化された世界の中で
分業体制になっていることも知りました。

なんとなく、ふりだしに戻された感じでがっくりきていました。

でもそのがっくり感がその職人さんに伝わったのか、
1人の職人を連れてきてくれたのです!

私はそれにとても驚きました。
自分の仕事を縄張りのように考える人たちも多いのに、
腕のいい人を紹介してくれる目の前の職人さんの良心と、
ジョグジャカルタならでは近い距離で
みんなが共同体を作っていることの意味を少し感じました。

二軒先の腕のいい職人だと言います。

ドキドキしながら訪問しました。

その人は、第一印象では人の良さそうなニコニコした40代中盤くらいでした。
自宅の一室を工房にしており、見知らぬ工具が机の上に並んでいる。

穏やかそうに見えるけど、シルバーの話になると少しだけ目の色が変わって、
新しいことにもチャレンジしたい気持ちがヒシヒシと伝わってくるのです。

「何かが生み出せるかもしれない!」

はじめて、ポジティブな気持ちになれた、
その職人さんの名前は「ワリヨ」さんと言います。

次の日から、ワリヨさんと私たちのジュエリー作りが始まりました。

「今までどんなデザイン作ってきたの?」

彼はシルバーの5cmくらいのブローチとブロンズの(もう既に錆びて真っ黒でしたが)
髪飾りのようなものを見せてくれました。
「あと、最近では街にあるお店のためにこんなのも作っているよ。」
シルバーの細かいデザインがいっぱいでした。

「なるほどー。細かいねえ。」

そうなのです。それはすごく細かい。
ただ、その細かさを活かしきれているかというとそうでもないと思いました。
まずはモチーフがちょっと具象すぎてこってり系。
更に、サイズが大きい。

この二つをまずは克服すべく私たちのモノ作りは始まりました。

「小さいなぁ・・・」「工具が入らないなぁ・・・」と、
彼はつぶやきながらも気がつくと即席で手直ししてくれるのです。

ただこのサイズというのはとっても文化的な背景があるハードルでした。

「大>小。飾り物は大きい方がいいに決まっている。」という考えと、
日本人の好む「繊細さや、さりげなさは美しい」という考えは本当に違うのだと痛感しました。

ワリヨさんが頑張って一回り小さくしてくれても
「更に小さく!」という私たちの要求。
その度に「小さくて美しい!」と私たちは話していました。

私たちはモノ作りをしながらもその文化を知りたくって、
そして出会いがあって生まれたものだからこそ、
両方のいい部分をきれいなカタチで融合させたいなあと思ったのでした。

シルバーで、小さなサイズで、生命力溢れるものが
漸く、一つ一つと出来上がってきました。

最初はネックレスでした。

その度に私は自分でつけてみて、ワリヨさんに見せます。
「バグス?(いい?)」
「バグス!」という本当に簡単なやり取りしか最初はできなくても、
なんだかモノがつなげてくれる共通の喜びがジーンと心に響きました。
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