MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
糸から始まる生地の可能性に「手しごと」で挑む

マザーハウスから、シャツ・ストール・セーターを中心とした新ブランド、ファブリックマザーハウスが誕生します。ミッションは「手しごとの未来を、途上国から世界へ」。
機械化・AI化が進むアパレル業界で、なぜファブリックマザーハウスは「手しごと」にこだわるのか。ファブリックプロダクトのモノづくりを担当し、事業を牽引し続けている田口ちひろへのインタビュー形式で、3日連続でお伝えします。

コラム一覧をみる
第3回 糸から始まる生地の可能性に「手しごと」で挑む

この土地、この職人だから出来るモノづくりを通じて、オリジナルのプロダクトを作り続ける

2018.09.06

新しい技術に挑戦し表現の幅を広げる

明日、9月7日から秋冬の新作が続々と紹介されると聞いています。新たなチャレンジはあるのでしょうか?

もちろんです!今回もたくさんの挑戦がありました。
まず、ネパールでは「スクリーンプリント」という、
版画のように柄を手作業で施すプリント方法にチャレンジしています。

手作業でプリントをするんですか?

ストールサイズの枠に染料を注ぎ、2人の職人で均一に力が加わるようにヘラを動かし、1枚1枚プリントを行います。
スクリーンプリントは、コンピューターでグラフィックを転写するデジタルプリントとは異なり、
切り絵のような、平面的な独特の味がストールに生み出されるんです。

DSC_0070
(スクリーンプリントの様子)

それは面白いですね。ネパールでプリントストールができるようになったのは
ネパールにとって大きなインパクトだったんですか?

そうです。
これは生産側、とりわけネパール特有の話になるのですが、スクリーンプリントであれば、
ネパールでも小回りがきくというか、生産がスムーズなんです。
デジタルプリントをするには、専門のプリンターやグラフィックの知識、
そして何より電力が必要ですが、ネパールにはデジタルプリントの工場はとても限られています。
加えて、工場に1台しかない機械が故障したりもするんです。
それよりも、スクリーンであれば電力もいらず、色の修正も確実にできるので、
アナログなスクリーンプリントのほうがネパールにはあった生産方法なんです。

なるほど。ネパールならではのモノづくりですね!

そうなんです。
加えて、スクリーンプリントのストールでは、表現方法においても新しいチャレンジをしています。
今回、スクリーンプリントで生産したストールは、月の満ち欠けを表現しているのですが
バッグの「Tsukiakari」シリーズとコンセプトをそろえるという新しい挑戦もしています。

ohirome_michikake02
(ミチカケ ストール、9月8日発売予定)

バッグ、ジュエリーとコンセプトをそろえるのはマザーハウスならではですね。

その他にも、絞り染めでチェック柄を表現した「タイダイ ビッグ チェック ストール」や、
これからお披露目になる、ニッティングのふんわりとした大判ストールといった、新しい表現方法に挑戦しています。

新しい技術で表現方法の幅が広がっているんですね。インドでも何かチャレンジはありましたか?

シャツは、「綾織り」「ヘリンボーン織り」といった、より複雑な織りのカディ生地に挑戦しました。
ヘリンボーン織りのチェック柄は、最も時間がかかり1m織るのに1日がかりです。

1m織るのに1日かかるんですか?!

そうです!100mを織るのに3カ月かけています。
ヘリンボーン織りは山形に見える織り方で、先染めした手紡ぎの糸をヘリンボーン織りすることによって、
独自のチェック柄に仕上げているんです。
時間はかかりますが、手しごとだからこそ生み出せる、
やわらかさや肌触り、保温性をチェック柄で実現するため、時間をかけてつくっています。

th_18-07-31 mother house-091
(ヘリンボーン織りをしたチェックのカディ生地)

手しごとでなければ生み出せない”機能性”もあるんですね。
そうなんです。まず糸づくりで、手で紡ぐから生まれる生地の風合いがあります。
それに加えて、空気を含んでとても軽く、ふんわりとした風合いで、肌なじみがよい生地になります。

あたたかみも感じられますよね。

太さが均一でないから、織ったときに凸凹が生まれ、それが表情になります。
なのでストールでもシャツでも、良く見ると、みんな違う顔付きをしています。
それぞれに個性が生まれるのは、機械ではなく手作業だからこそ生まれる味です。

だからこそ「手しごと」にこだわるんですね。

はい。でも、これまで手しごとについて話しておきながら矛盾するようですが、
「手しごとだから」だけではお客様にとっての価値にはならないと思っています。
着た時のシルエットの美しさ、他にはない色使いなど、
プロダクトとしての魅力があることが大前提だと思います。

この土地、この職人だからできるモノづくりの可能性に挑む

手しごとは単なるプロセスであって、お客様にお届けしなければいけないのは、
魅力のあるプロダクトということですよね。

そうです。
手しごとであることが目的ではなく、ネパール、インドそれぞれで、
「この土地だから出来ること、一緒に働いている職人たちだから出来るモノづくりは何か」を追及して、
ファブリックマザーハウスにしかできないモノづくりをお客様にお届けしていきたいと考えています。

最後に、プロダクトを通じてお客様に伝えたいメッセージを教えてください。

身に着けることで、日々を自由に生きる、
前に一歩踏み出す勇気をもっていただけるような、プロダクトをお届けしていきたいです。
天然素材のもつ気持ちよさを、日々の生活のなかで感じながら
快適に過ごしていただきたいという想いももちろんあります。
しかし、素材から開発して、職人たちとオンリーワンのモノづくりを目指すことが、
最終的に、身に着ける方の個性を引き立たせるアイテムを生み出すことにつながるのではないかと思っています。
なので、ネパール、インドとそれぞれの地で、常に新しい技術や表現に挑戦しながら、
自分たちの自己ベストを更新し続けるような表現を追求していきたいです。

このコラムに関連するイベント

fb_180814_MHC_bana

副社長・山崎大祐とファブリック事業担当・田口ちひろが語る 「新規事業 in マザーハウス。立ち上げの挑戦とリアル」

9月 7(金)

20:00-22:00 マザーハウス本店 一般:2,000円、マザーハウスプロダクトをお持ちの方:1,000円、学割:1,000円

メッセージを送る