MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

ホクミア。

2016.05.25

バングラのサンプル作り、今回はセカンドサンプルなのですが、
毎回新作は1回目よりも2回目がしぶく辛いのです。

持ち手の構造で、二日間×3名が取りかかったのだけれど
全くどれも失敗に終わり、髪の毛ぐしゃぐしゃ頭を抱えながら
私も必死に考えて
「こんなのはどうさ!」とはじめて提案してみた。

そしたらモルシェドが目をパチクリさせてた。

超かわいい。

そして採用された!
まるでボスに選んでもらえたみたいで私は
とっても舞い上がってしまった。

それから次なるハードル。

ストッパーです。

留め具が必要な鞄なのですがこれまた難しい。

再び、複数の構造のパターンがあがってくるが、どれもだめ。
「複雑すぎる。」
「派手すぎる。」
「分厚すぎる。」
「重すぎる。」
「主張しすぎ。」
ありとあらゆる理由でだめになるものたち。

「じゃあ何がいいのさ!」ときれるホクミアというサンプルマスター。

「生活に寄り添ったリアリティある機能を提案しながら、
素晴らしい美術品を見た時のように一瞬でひきつけるフォルム美をもっているもの、
最後に、役に立たないただの装飾は一切無用。」

とベンガル語で一生懸命伝えていたら、それだけで30分かかって
もう何に疲れているのか分からなくなった・・・。

それにしても、このきれてきたホクミア。
彼の成長ぶりがやばいのだ。

マトリゴールで最高の職人はモルシェドという名前で、
8年一緒にモノ作りしている。
彼の名前は知られ過ぎていて、日系のバッグの工場からも
ヘッドハンティングの電話がひっきりなしにかかってくる。
「マザーハウスのサンプルマスター」として
彼はバッグ産業で知らない人はいない。

その度に「俺はこの工場で雇われているっていうよりは
この工場作った側なんだよ。やめるわけにはいかない。」と
言っている。

なんて美しいセリフなんだ・・・・・。

まあそれはさておき、実は、モルシェドよりも10歳以上若い
ホクミアという人物、つい最近まで彼を過小評価していた。
色々提案してきても、試す前にモルシェドが回答を出すことが多くて、
あまり本気を知らなかった。

でも、モルシェドが忙しくしていて
前回の出張で彼と共に作っていた時どうしてもだめだった時に
彼が「ここをこうしたらいい。」と言ったことがあり、
それがパーフェクトな提案だった。

その後も、3つくらい立て続けに彼のオリジナルな提案は私の中でヒットで、
「これ売れたらモルシェドじゃなくてホクミアの貢献だなあ。」と
ぼそっと言った。

ホクミアはモルシェドよりも、頭が柔らかい。
若いからなのか私の無茶なリクエストにも
「できるかも〜」とか言いながらすいすいやってしまう。
そしてその斬新さに彼自身があまり気がついていない。

「彼はモルシェドを超える逸材かもしれん。」と
工場長のモインさんに言うと「まさかー!!」と大笑いされた。

でも私は最近、本気でそう思っている。
モルシェドの後任なんて、絶対に現れないと思っていたのに、
(失礼だけど)全くノーマークだったホクミアが浮上。
末恐ろしい人物だ。

日本サイドのデザイナーも、そんな若手で面白い逸材に
出会えたらいいな。

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