MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

小さなレボリューション

2016.04.28

バングラの出張も今日で最終日。

来る前にたくさんのアイディアを思い描いていたけれど
実際に作ってみたら、ほとんどが絶望と共に塵と消え、
生き残ったアイディアとともに私は次の国ネパールにいきます。

ただ、今回の出張はモノ以上に手応えのあるものでした。

工場が広くなってサンプルルームの広さは2倍半になりました。
サンプルルームだけに革漉き機と縫製ミシンもセットされ、
テーブル台数も3つに。

配属されているスタッフは相変わらず5人だけれど。

でも今回から、私はサンプルを作るプロセスをちょっと変えようと思った。

先月モノ作りやデザインに関わる多くの本を意外と
多く読んで、意外と勉強した月だった笑。

その中で、自分流だったモノ作りのプロセスを、
客観的に整理できたことはとてもよかった。

それを踏まえて、これまでは5人が異なる5つのモデルを作っていたのですが、
多少時間が多くかかっても、5人が同じモデルを異なる手法で
作ってみる、その中で生き残るアイディアを探す、という方法に
変えてみました。

結構短期間の出張なので、私はこの決断をするにあたり
勇気がいました。

でも、やってみよう、最後に責任とるのは私だ、次回またやり直せばいい、と
覚悟を決めました。
こんなすごくなんていうか現場の話しなので誰にも共有できなかったのですが
内心どきどき。

似たような型紙が広がり、それぞれが持ち手のシェープだけ違ったり
内側の構造が違ったりしています。

私はその5つのアイディア同士の化学反応を見ながら
融合したり、取捨選択したりしました。

途中、モルシェドのアイディアが有望だと思っていたのですが、
ホクミアの先に仕上げたものがあまりにも素晴らしくって、
お互いが意識して、サンプルルームが少しの緊張感を持てたことは
非常にいい、流れでした。

デザインっていうフワフワしたものをちゃんと科学する、ちゃんと
合理的なプロセスとして理解しようと私は思っています。
職人さんに理解してもらうにもそれが大事だし、売れた売れないも
ラッキーで終わってしまったら次には何も続かない。

ただ難しいのはデザインにとって大事なのは、どこかフワフワした部分は絶対に残しておくこと。

そのフワフワした余白みたいな部分から、ぐぐっと生き残る
アイディアが生まれるんです。

そしてもう一つ、この作業プロセスの変化を私は
モノが出来る事よりも、ゴールとして優先順位を高くもっていたので
「今回の出張はブレストだ。」って割り切って挑めたのも、精神的には楽でした。

この作業プロセスのおかげで、もともと私は作るのが非常に早いのですが、
もっとエキサイティングに、そして5%くらいは前より早く
モノがあがってくるようになったかなと思います。

なぜなら1人の人が同じものを作り続けていく場合、
「これは、だめだ。ここ変更して。」とやり続けると人間なので
少しの飽きや疲れが生まれてきます。
でも、一斉に同じものを作り始めたら型紙の量は増えますが、
5人の知識が集結されるわけで、終わったらまたみんなで異なるものを
作る喜びもある。

結果、日々眠れなかったBDでのプレッシャーに耐える夜は減り、
全体的にサンプルルームは笑い声が溢れたものだった。

当然のように、次回の出張はそうはいかないと思うけれど
自分としては小さいけれどかなり大きい挑戦をした結果なので
とても嬉しかったのでした。

小さくて地味ですが、日々学びを蓄積していつか遠くに行けたらなって思います。

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