MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

モノの裏側

2016.01.30

日々手を動かしている現場では
結構地味に見えて、中にいると、
ジェットコースターのようなドラマが
たくさんある。

今度こそ、自分が表現したい形に
構造的な問題を乗り越えてたどり着いたと
思っていた。

途中
「いけそう、いけそう」と
プロセスを終えるごとに思っていた。

「いけそう?」

モルシェドがうなずいてくれた。

そして、最後の縫製は、
高さ45cmのアームが下から伸びる
ポストベッドという、ロングブーツなどを
縫う時に使う特殊なミシンで、
1番信頼するエルシャドに
縫ってもらった。

エルシャドの隣に
サンプルチーム全員集合しながら
その縫製をじーーーっと見つめている。

そして、ぐるっとバッグの外周を縫い、
スタート地点に糸が戻ってきた。

ピッチもいいし、最高だ。

「できた・・・・。」

モルシェドがサンプルテーブルにそのバッグを
持って移動するのにあわせて、
ぞろぞろと今度は縫製チームも
サンプルテーブルにきた。

一つのバッグに、10人以上が囲んでいる。

最高に納得いく形だった。

けれど、私はなにか違うことに気がついた。

「ジッパーの引き手が、逆だ・・・。」

なんだか糸の番手が細いように思ったら
ジッパーの引き手の部分3cmが
ひっくり返されて縫われていた。

すぐさま、ジッパーのスライダー(金具の部分)をペンチで
一旦取り外し、普通に付け替えようと思った。

その時、ペンチをもったホクミアの腕から
「パキーン。」

スライダーが折れたのだ。
同時に引き手もどこかに飛んで行った。

「ふざけんなよ!!!」と思わず日本語が出てしまった。。。。

そして次の瞬間、私はiPhoneのライトをオンにして、
床にへばりつき、その破片を探し始めた。

気がついたら立っている人間は誰もいない。

全員が床にへばりついて、
その破片を探している。

その異様な光景ったらありえないが必死だ。

「あった!!!」と誰かが言ったが、
ただの革の破片だった。

みんな昆虫のような格好になっているが、
見つからない。

全員がものすごい敵視した目線をホクミアに送りながら
立ち上がる。

思いついた。

「もう一つのスライダーを同じように折ろう!!」

すぐにペンチで、モルシェドが新しいスライダーを力いっぱい
折った。そして折れたパーツに接着剤をつけて、
もともとのバッグにつける。

「ピンセットだ!」

彼はまるで医者のようだった。

ただ、折れた断面がぼこぼこしていてうまくいかなかった。

もう一度最初からか、、、もう出張期間では完全に間に合わない、、、
色んなことが頭をよぎっていたら、後ろでホクミアが
「見つけたぞー!!!」って折れたパーツを
もってきたのだった。

すっごく勇敢そうなドヤ顔をしていた。

「よくやったホクミア!!!!!」

全員がそう言っていた。

そして無事に接着手術は成功し、二度と開けてはならない
バッグが完成した。。。

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