MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

ビエコルベン。

2015.10.17

相変わらずサンプルのやり直しが続く日々の中。

非常に腕のいい縫製スタッフのラジュとテーブルで働く
ソニアの2人がサンプルマスターのモルシェドに何やら
コソコソ相談をしている。

チラチラ見ていた私に気がついたのかモルシェドが静かに言った。

「マダム、ウナラ、ビエコルベ。(彼らは結婚するんだ。)」

「!!!!」

会社には社内恋愛や社内結婚をルールとして取り仕切る会社も
あるとどこかで聞いた。

ただ私たちマザーハウスもマトリゴールも、そんな必要性を
全く感じずに(幸か不幸か!)ここまで来てしまったのだ。

はじめての出来事になぜか私がうろたえる。

(どうしよう、どうしよう)と思いながらも頭より先に口が動き
「おめでとう〜!!!!!」と言った。

2人はとってもはにかみながら、ニコニコしている。

「いつマトリに入ったんだっけ、ラジュは。」
「もうかれこれ2年半。」
「ソニアは?」
「8ヶ月。」

(なんとスピード婚じゃありませんか!)
と組織のこととは別に、即座に阿呆な思考をする私。

少しの雑談の後、私は
「テーブルと縫製かぁ・・・。」と生産ラインの配置などを
見ながら独り言を言った。

モルシェドが横で大笑いしていた。

「なんて素敵な出来事なんだろうねえ。ねえ?!」と
まだ企業としてのスタンスがよくわからないため、
モルシェドに聞くように言った。

そしたら

「たくさんは困る。」

とバサッと言われた。

(うわわ・・・・。この人2人の前でそんなにはっきり言わなくても!(汗))

青ざめた私は、思わず2人の顔を見ると、
2人もまたニコニコ堂々と聞いている。

みんなのメンタリティはハードレザーよりも強い。

言う方も言う方だが、言われる方もまたノーダメージ!

(こういう場面に私はよく出くわすが、日本人があまりにも
敏感になりすぎているのかな、ともたまに思うのだった。)

私はこの会話に挟まれながら、ただただ、たじろいでいた。

そしてそれを端っこから見ているスタッフの笑い声。

実を言うと過去に工場内で恋愛が起きるのは
初めてではない。しかしあえなく、結婚まではいかなかった。
(って、なんでそんなことまで知ってるのさ、という感じだと
思いますが、現地の言葉を理解することは工場の健康的な維持にとっても
大事なのです!笑)

その時を振り返ると、「本当に手作りの工場というのは脆いなあ」と
思っていたのだった。

そうした出来事によって、実はラインがスムーズにいったり
いかなかったりしてしまうのだ。
それくらい私たちはまだまだ小さいし、悪い意味で人間味ありすぎる。
だからこそ工場を運営するというのは、嫌でもプライベートを把握したり、
そこから起こる様々な出来事に非公式にでも対応していかないと
いけないのだ。

まあでも私がスタッフでもやっぱり気になるもんね。
だからモルシェドのいうことはとても正しい。

でもなんとかその場を柔らかくおさめようと(その必要もなかったのだが)

「ま、まあたくさんじゃなくてもさ、おめでたいこと!
もっとこんな出来事が増えるといいねえ」と言ったら

「女性スタッフの数が男性よりも少ない。
(鞄産業やレザー産業では力を使う仕事が多いためどうしても男性スタッフが
多くなる)
そしてうちの女性スタッフの9割は結婚している。」
とまたバサッと横から事実ベースの話しをはじめた独身ジョシム。

ジョシムの雄弁っぷりに頷くスタッフもチラホラいて、なぜか
輪がまた大きくなっていた。

「ま、まあとにかくさ、競争とは人を成長させるものだ。」

と結論らしきことを私はベンガル語で述べ、
またおかしな汗と共にそそくさと自分のサンプルテーブルに戻って行った。

そんな出来事があって、今日は「問屋に素材探しに行く」と
3時間だけ工場を早くでて、彼女に髪飾りを買いに行った。

私がラメの入った(自分では確実に×2、選ばないが)
ベンガル人女性が好きそうなのを選ぼうとすると一緒に買い物に
付き添ってくれたムンナが言った。

「違いますマダム。こっちの花の方がきれいでしょう。」と、
私がきれいだなと思ったものを選んだ。

「いやでもさ、ベンガル人の女性って結構ギラギラしてるの好きじゃん?」
というと

「マトリ(自社工場の名前)のスタッフですよ。」と、彼は非常に本質的な
ことを言ったのだ。

モルシェドの発言といいムンナの発言といい、日々学習なり。

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