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山口絵理子の日々思うこと。

つながりのある世界。

2022.03.14

春の新作「Sou」を作りました。

このかばん、一見するとシンプルなのですが、型紙を一枚で作りました。

マニアックな話をするともうエンドレスなのですが、今日書き留めておこうと思った
のは、このバッグが教えてくれたこととか、きっかけになってものづくりへの気持ちが変わっていったことがあまりにも大きいから。

コロナ2年目になって暗いニュースばかりで、ニュースを見たくないけど、気になるから見て、また悲しい気持ちになって、の繰り返しだった日々。

「ファッションって何なんだろうなあ」と40店舗持っているブランドなのにまだ悩んだり思い耽っていたりする自分がいた。

でも時代がどんなにネガティブになっても、私には作る理由がある。それは直接雇用している自社工場のみんながクラフトマンシップの高みを目指していく道のりをリードする商品を作りたいからだ。

「途上国から世界に通用するブランドを作る」その理念には、ものづくりの追求が欠かせない。だから、難易度の高い技術を要求する新作を作っていっていたし、それが工場の設備に繋がったり、職人の成長に繋がっていた。

ただ、この春は「職人」や「生産地」というワードを自分の中でちょっと置いておいて、「さあ、“らしい”ものを作るぞ」っていうことを目標にしてみた。

らしさの定義はとても難しいし、あれも自分、これも自分らしいってなっちゃうんだけれど、私は方法論を変えることで「らしさ」を「見つけられる」気がした。

手法を変えることでoutputを変えていける。

変えたこと。

それは、定規を使わないってことだった。

クラフトマンシップには寸法は当然必須アイテムなんだけれど、私という人間はなんとなく物差しを自分で作るタイプだよな、って思って、ああ、それを方法論にしてみよう、と思ったのだ。笑。規格外のものを作りたかった。

そしてもう一つ、型紙を触る前に決めていたこと。それは「型紙の枚数は多ければ多いほど、作りが細かくて、技術がすごいってなる。
でも今届けたいものって、もっと自然体でもっと力を抜いて、それでもすごく穏やかなもの。そう、繋がっている世界、世界観何だよなあ、そうだ。型紙を切断せずに、1枚で繋げて作ってみよう。」ということだった。

この二つを自分の中で“決まり事”にした。

ある側面では「制約」なんだけれど、私には「楽しみ」と「自由」に思えた。

型紙と対話する。粘土をこねているみたいだって、途中みていた旦那に言われた。

こんなにストレスなく、緊張感なく、ものづくりをしたのは初めてだった。

「売れないかもしれない」とか「作りが難しいかもしれない」とかそういうマイナス要素はまーったく頭に入れないで、開放された心理状態で生み出したものが、このSouとなった。

ある人には、「静かさと躍動感の二つがすごく両立されている」と言われある人には「すごく東洋的な哲学と形」だと言われた。

出来上がった瞬間思ったことは不思議なんだけれど「ああ、新しい世界こんにちは。こんな景色が見えたのか。ここまでよく頑張って来たねえ」と自分自身を労いたくなった。

誰かと競争する世界から離れたかった。
それでもビジネスをやっている以上誰かを意識したり、争ったりもする。
いくつかのコピー商品に対して思うことも多くあった。
色々な思いで16年間形を作ってきて、「ああ、らしさが見つかった」そう思えた。

それが嬉しくて仕方がない。
そして、怖くて仕方がない。

そして、ワクワクでいっぱいだ。

お店や画像から、お客さんが受けとる情報はわずかかもしれないけど、こうやって背景に作者の旅路が隠れていて、もがきも喜びも内包されているってことを伝えたくて、読んでくれたら嬉しいです。

山口絵理子より。(気持ちも軽くなって髪を切った笑↓)

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