スクリーンショット_2020-03-07_13.11.22

会社を作って15年目に突入する私が思うこと。


明日、2020年3月9日に私の会社、マザーハウス は15年目に突入するのだ。

気がついたらNOTEのフォロワーさんが1万人を超えていて、もしかしたら密かに私たちのバッグやお洋服を使ってくださっている方がいるかもしれない、と思うと久々にNOTEを更新したくなりました。万が一そんな方がいらっしゃったら、本当に心から「ありがとうございます!」

そう、15年目に突入。なんか「突入」するっていう言葉が結構今の自分の気分にあっている感じ。

達成感ではなく、こんな時代に生き残っている、という難しさや、焦りみたいな複雑な感情とともに。

でも周年の週末くらいは、コロナのニュースにまみれた日常から離れ14年間のマザーハウス 人生を振り返りたいと思って、すごーく久々にNOTEをかいている。

前回まではハフポストさんも手伝ってくれていたので、完成度高かった。今日は、周年っていうこともあり、素な感じで、書きたい。

14年目にどんなアクションをしたのかなといつも達成したことよりも実行に移したことを考えてみる。
それは私の癖で、結果を出したことを振り返ったら次も「結果が大事」となってしまう。
私は「どんな行動をとったのか」を振り返るようにしている。

その結果、私の場合は行動がある程度結果につながっているので(えっへん)、あんまり変わらない時も多いんだけれど。


一つ目、思い出深いのは「ミャンマー」でものづくりが始まったこと。
民主化されて間もない国の雰囲気に触れながら、日本人が入ったことがないエリアに足を踏み入れ、採掘場から掘り起こしたルビーたち。
原石のままジュエリーにするために、現地工房をみんなと一緒に作った。
今、その原石のコレクションは、すごく売れているんだけれど、
一番嬉しかったことは売上じゃない。
それまで原石として輸出していたミャンマーが加工品を輸出するということで現地の新聞が私たちの活動を取り上げてくれたこと。

10人弱の小さなヤンゴンにあるアトリエからそれらは出荷されているんだけれど、そうしたアクションが広くミャンマーの皆さんに「自分たちの足元にある宝物」に気付くきっかけとなったかもしれないと思うと、心がメラメラ嬉しいのだ。

それと、最も大きな「やったこと」は、お洋服を本気で作るようになったことだ。
「e.」という新しいお洋服のブランドをインドからスタートした。
インドでも自社工房をもつっていう恐ろしいアクションをしちゃったんだ。

でもね、それも一番嬉しかったことは、e.がビジネスとしてすごくいいスタートをきったことではなく、インド人が、「こんなにかわいい人種なんだ」とはじめて知ったこと。ずるやすみをしてバレバレな嘘をつくインド人。自撮りをする時に必ず舌をペコちゃんみたいに出すインド人。そんな人たちに触れ合えることは正直、幸せだ。

その前まで、インド人とは切なく、背筋が凍るような思い出しかなかったのだが、インドに対する自分の「見方」に新しい角度を与えてくれたのは、本気でインド人と付き合うにようになってからだ。

世界を広げて行きながら自分の影響で誰か現地の人が変化したり、自分の視点が世界との接点により変化したり、そんな相互作用が私は自分の仕事の醍醐味だと思っている。

「世界で仕事をする」ということと、
「世界と仕事をする」ということは私の中で大きな違いがある。

「と」っていう言葉には「共に」が内包されていて、本当の意味でそれを行うには、むちゃくちゃ覚悟がいる。

嫌いな国だって、ある笑。でもさ「ここで仕事する」って決めたら、腹くくって、ある程度現地化する努力がとても必要。


レベル云々よりも、現地の言葉をはじめ、向こうのペースや価値観をつかもうとする姿勢は続けていきたいとおもっている。

一方で思うことは14年たっても、私はバングラデシュの1%もわかっていない。

今、14周年で思うことは、正しいことを探したいわけではないけれど、
自分がやってきたことが、本当にこのままでいいのかなって疑う気持ちを更に大事にしていきたと思う。

マザーハウス のやり方や自分自身の考えが、実はすごく的外れだったり、変更が必要だったり、変化に合わせて何かを変えていく方法や選択肢が山ほどあるんだということを忘れたくない。
スタッフも700名、店舗が今季で40店舗を超えますってなると、「自己肯定」をしてしまいそうな気持ちになるんだけれど、それって超リスクだよねって思う。


私ももう38歳になって、今の世代の感覚をちゃんとつかめているわけじゃないとも思う。

もっと面白い10代、20代の価値観や取組に対して、すごくオープンでいたいと、それはもう意識をちゃんと向けなければならないことだと思っている。

どんなタイミングで自分が出るべきか、この領域はもっと若い世代が得意そうだなとか、そういうことをちゃんと、「わきまえていける」人間でありたいなって思う。

それは会社のトップとしてだけじゃなく、デザイナーとしても、個人としても。


結局、世の中の大企業が今行き詰まって、少し迷路に入っている理由の多くが、「50代、60代の経営陣」が時代をつかめているのか、ということに根本原因があるのではっていうのが私の仮説。

誰かを批判することは私の性分ではないけれど、大きく見たときに、「視点ずれているよね」ってみんなが思っているのに、トップは掴めていないケースってすごく多くなっている気がする。企業でも、政府でも。

だってさ、60代の社長さんって、今10代後半のコミュニケーションをどれだけ把握していて、どんな風に“幸せ”を定義しているのかって、理解している人がどれだけ多くいるだろうか。

そういうなんていうか、言葉には誰もしないんだけれど、それぞれの世代のギャップは大きくなっていると思うし、グラウンド(世間)でみんなが感じている部分に、常にセンサーすごく敏感に働く人間でありたいっていうのが私が周年で思うことです。

物を作る、組織を作る、様々な場面で、そこのセンサーが時代に対して的確かどうかが、実はとても大事なスキルなんだと思う。
今は、世代間ごとに考えていることがあまりにも違う。
フランスは日本よりももっと、違うんだけれど、フランスと仕事をするようになって、「世代」がもつ影響力がテイストとかライフスタイルとか政治とかそういうことよりやっぱり大きいなって思うんですよね。

そうした時に、自分が「38歳です」っていう立ち位置をすーーっごく客観的に、冷静に「わきまえないと」いけないと私は強く感じている。そこをわきまえないと、踏み外してしまうことがとてもあると思う。

わきまえる、の意味は、悲観するのでもなく、楽観するのでもなく、私のように創業が24歳の場合はとりわけ、なかなかそういう自分を受け入れ、変化していくのが、難しいケースもあると思う。
「いつまでも自分が若い感覚でやっている人」の危うさったらないなと思うんです。

年齢を「重ねる」って綺麗な言葉がファッションの世界ではよく聞くけれど、要は「年をとった」ってこと笑。

そのことに対して、とても客観的でありたい。

っていうのが、周年の私の意気込みなんです。グラウンドに立とう、祝14TH.

(ちなみにこのバッグは一番最近作ったカバン。記事とは全く関係ございません笑。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?