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夢の銀座店が開店いたしました。

今日、8月7日、銀座店をオープンすることができました。

こんな時代に、こんな高い場所に・・・・。はい、私もそう思います。。(苦笑)

しかし、タイミングや場所だけでなく、さらに建築家、藤森照信さんに設計して頂くという中身も通常の店舗よりもガッツリ投資させていただき、オープンにあたっては左で泣いて右で喜んで、みたいな状況です(笑)。

まあ財務のことはCFOに任せるとして、私としては銀座にオープンできたことがとても感慨深く思っています。

実は2006年、はじめて作ったカタログがあります。
今それをお持ちの方は数名しかいないのではないかと思いますが、印刷代も安くしようとしてバングラデシュ で刷ったんですね。
だから印刷のクオリティはボロボロなんだけれど、中身は面白い写真が一面広がっていたんです。

それは、銀座の道と、ダッカの道がつながった合成写真でした。

ボランティアで撮影してくれた友人のカメラマンと高層ビルの階段から銀座を俯瞰した写真をとって、ダッカのカメラマンも人力車でぎゅうぎゅうな様子を撮ってつなげたんです。

そんな写真を「撮ろう!」と言った私は当時から「いつか工場で作ったものたちが、この銀座につながる」と信じていたんです。

日本でカタログを印刷する金額も出せないのに笑、信じて疑わず、当時無給で手伝ってくれた先輩方にはよく「はい、はい」とあしらわれていました。

でも私は、誰がどんな風に自分の発言を受け止めようが、全く気にしていませんでした。なぜなら、「実現するから」笑。

問題は、やるかやらないかではなく、「時間」なんです。

「いつ」実現するか、については、判断が分かれると思うけれど、「続ける」という覚悟をもった人間にとっては、やれるかどうかはイシューではなくタイミングだけの問題なんです。

どんなことも、「イメージすること」という第一歩がなければ、絶対に次の「形にする」というステージにはいけないと思っています。

根拠のない、でも最強のイメージを抱えた25歳の私は、今39歳を目前として、あまりにも美しく個性あふれる「マザーハウス 銀座店」の前に立っています。興奮と達成感と感謝で涙がでそうになりました。

あの当時から支えてくださった、たくさんのお客様。

無謀な夢をここまでサポートしてくださったこと、度重なる危機、15年間で何度もくじけそうになったことが走馬灯のように浮かんでは、その時出会ったお客様、職人、スタッフいろんな人の表情が浮かびます。そして、生産地で一人悔し泣きした山ほどの日々も。その度に「あと一回だけ頑張ろう」って思い続けた日々も。

人生とは本当に豊かで、やるって確信があっても、その道のりの楽しみ方は多様で、苦労がなければ味わえない幸せってやっぱりあるんですよね。

みなさんの力でまた一つ夢が実現しました。

そして何より、店舗という箱ができても、商品が揃っていなければ全く意味がありません。銀座という場所に陳列できる商品を作ってくれた私のヒーロー、ヒロインである工場のみんな、心からあなたたちへの愛情と感謝でいっぱいです。できるならば、全員をこの銀座店に呼びたい。

そして、「みんながこのお店を作ったんだよ」って叫びたい。

そんな気持ちです。

今回の銀座店は、藤森照信氏による建築設計となり、バッグ+ジュエリー+服の複合レディース 店舗の旗艦店としての表現になりました。

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藤森さんらしいテイストの中に、バングラデシュ から到着したバンが中央に配置されています!しかしその上には滋賀県からの苔山が・・・・。

(こちらは是非お店でご覧ください!)

起業当初夢とカタログで描いていた日本とバングラデシュの融合が今、店内にも実現されたのです。
そして一番私がこだわったのは床に「麻」を使ったことです。ジュート(黄麻)から始まった私たちの原点を、お客様に感じてもらいたいという気持ちからでした。

銀座店が描くものは、完全なるレディースファッション店だとしたら、じゃあメンズは?実は歩いて1分の東銀座店がマザーハウス 初のメンズ館に生まれ変わりました!メンズ・レディース でこれまで区切ってはこなかったのですが、こんな時代だからこそ新しい取り組みをしていきたいと思いました。

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銀座は、松屋さんの通りにあることもあって、目の肥えた素晴らしいお客様も多い場所。過去を振り返れば、入谷の一号店から新宿にお店を出した時、青山店に出した時も、商品をよくしてくれたのは、そうした方々との出会いでした。
作り手であり経営者である私が思うこと、それは、「お店を出す意味は、これからの商品を作るため」でもあります。
「これからの商品」それは、考えれば考えるほど難しい時代に入りました。
マーチャンダイジングや商品の売れ筋の予測が非常に難しくなってきた時代です。
そういう時にはデータ分析よりも、感度の高い立地で、求めるものがはっきりしているお客様たちとの会話によって紡ぎ出される解の方がよっぽど信憑性があったりもするのです。

ミニマトウという新作を出した時「こういうの探していたんだ!」っていうお客様の声がとても多かったのが本当に嬉しかった。これからもお客様の生活に寄り添い、「一体何がお客様の心に響くだろうか?」という問いに答えるため、銀座店は間接的にも大きく貢献してくれるって期待しています。

最後に、「コロナ禍でリアル店舗の意味はない」そんな言葉がビジネス誌やネット上でも飛び交っているけれど、私はお店に入って、純粋にワクワクしました。

銀座なのに、なんだか洞窟的な雰囲気に包まれていて、古くから伝わる手仕事に支えられた建築設計になっている。
別に何かを買うわけではなく、目的としている商品なんかなくても、お買い物の時間・空間が与えてくれる気持ちの高揚感は、私は個人的には、大事な気持ちの切り替えになったり、日常の中で非日常を味わえるエネルギー源の一つだと思っています。
外出することが今は難しいかもしれませんが、もしお近くを通る機会があれば、15年目のマザーハウス の大事な通過点を、是非覗いてみてください。そして、コロナが落ち着いたら、これまでずっと応援してくださった方々とこの場所で楽しい会話ができたらいいなって夢見ています。

本当にまた一つ、夢を叶えてくれたみなさん、ありがとうございました。

銀座店ショップ情報 https://www.mother-house.jp/shoplist/ginza/

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