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山口絵理子の日々思うこと。

コロナ禍で新事業:回収サービス、リメイク商品ついに発売。

2020.07.22

こちらで先日、鞄の回収サービスをコロナ禍で始めることを書きました。

https://www.mother-house.jp/magazine/column/eriko/2203

予想以上に、NHKやワールドビジネスサテライトやボーグなど、大きな取材がたくさん入って、苦しい中での前に進むアクションをちゃんと見てくださっている方々がいるんだなあと思いました。
そして、みなさんが「note見ました」というので、noteさん自体の発信力にも驚いているところです。

さて、その後回収したのか?どうなったのか?

答えはイエス。

猛スピードで回収し、猛スピードで解体し、そこからリメイクデザインを起こし、猛スピードで生産をし、なんと、リメイク商品第一弾を、RINNEというシリーズ名で昨日から発売開始いたしました!!!

さらに、すごい勢いで売れているのです。。号泣。

https://www.mother-house.jp/event-campaign/RINNE/

我々マザーハウスブランドのスピード力は、コロナで倍速になった気がします笑。(オペレーションを整えているみんなはそのおかげで本当に疲れも倍速ですが・・・)

最初に、お店や本社にお客様がご不要になったバッグを送ってくださいました。また、自社内で不良品やどうしても廃棄せざるを得なかった昔の商品なども集めて、まとめて解体作業に入りました。

ずっと長くお付き合いしている日本の修理工房に協力を依頼して、バッグから、革のピースを切り取っていき、それらをベースに、デザインをはじめたのです。

その過程で、デザインの原動力になったことがあるんです。
それは、回収された鞄に添えられていたお客様からのお手紙なんです。

自分たちが作ったものが、お客様との旅を経て戻ってきたことを感じて、胸が熱くなったのです。ちょっとだけですが抜粋します。
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「通勤や子育ての苦労を共にしてくれたバッグに心から感謝です。」
(この方は工場のみんなのために、英語にも訳してかいてくれていました)

「6年間、いつも一緒にいたバッグです。気に入って同じ型で同じ色を購入して、それは現在も毎日使っているんです!」

「2年間、毎日使わせていただきました。このバッグをもっていると毎日の通勤がワクワクして嬉しかったです。素敵な革製品に生まれ変わりますように。」

「なるべくシンプルな暮らしをしたいと思っているのにマザーハウスだけは行くたびに連れて帰りたいという欲求に負けてバッグが増えていく一方でした。なので今回の回収の提案は本当に待ってました!という感じでした」
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こんな手紙を読むたびに私はみなさんに、驚きと感動のあるリメイク新作にしたいとものづくりの情熱がふつふつと湧いてきたのです。

デザイナーとして、こだわったことはこちらの動画で深く話しをしました。

一番意識したこと。それは「サステナブルや、エコといくら声高に叫んでも、かわいくなかったら、お客様の心に届かなかったら何も意味がない」ということでした。

立ち上げ中のフランスでも世界中でも、そうした運動が広がっていますが結局は意識の高い人たちだけの運動になってしまうか、拡散するかは、「かわいいかどうか」なんだと私は思うのです。
だから、マザーハウスの通常商品でもそうですが、「ストーリーや背景を聞くことなしに、純粋に物欲をくすぐるもの」を作ろうとデザイナーとして初期設定したのです。

そこからは、回収したからこその色がバラバラなレザーをどうコンビネーションを作っていくか、というのが第二フェーズの挑戦でした。
「いろんな色が使える」ことは嬉しいことですが、選択を誤ると子供の遊びになってしまう危険な道具であります。だから私たちは、ネイビー系の時はこれを合わせて、茶系の時はこういう風に、という感じでリメイクでも、「なんでもあり」にせず「ルール」を設けて生産をしてもらったのです。

それはそれは生産効率の下がること、下がること!苦笑。急降下!

それでも、完成度を左右するカラーコンビネーションは妥協するわけにはいかなかったのです。

今回は、コロナ禍でパートナーシップを組んでいた日本の修理工場に生産の協力をしてもらいました。出来上がったバッグをみて、日本の職人さんも「リメイクって普通はサイズや持ち手を変更するだけなのに、全く違うものに生まれ変わらせるっていうんだからリメイクの概念を壊してくれましたよ!」って笑っていた。

革はやや傷ついてビンテージがかかっているけれど、それをレトロなテイストにむしろもっていくために箱形にした。まるでおばあちゃんから譲り受けたジュエリーボックスのように。
見た時のパンチが強く心に残り、「自分だけの選びたい!!」って思ってくれるもの。それがリンネというリメイクシリーズのデザインコンセプトでした。

「こんな手間がかかるようなこと絶対やれない・・・」と途中はチームみんなで愕然とするほど道のりが遠かった回収からのリメイク事業。
それでも、昨日の発売日からオンリーワンのバッグたちはものすごい勢いで新しいお客様のもとに旅立っていき、感動が止まりません。

生命が循環する輪廻、お客様の愛着を私が受け取り、職人さんにつなぎ、新しい商品に循環したバトンリレー。本当に作りたかったデザインは、美しい循環であり、美しいファッションのあり方であり、美しい社会。

型紙を作り時は手元に夢中でも、心の奥に捉えてものは、そうした大きな社会に対するビジョンだった。

私たちの歩みは大海の一滴かもしれないけれど、倒産、閉店のニュースが多いファッション業界の中で「こんなやり方やってみたよ」という小さな試みがやがて大きな明るい変化につながればいいなあって思っています。

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