MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE

マザーハウス公式アカウント

  • Facebook マザーハウス
  • Twitter マザーハウス
  • インスタグラム マザーハウス
  • メールマガジンに登録
山口絵理子の日々思うこと。

体に吸いつく新感覚リュック、発売。

2020.07.15

「ミニマトウ」という新作が今日から発売になりました。

私のマザーハウス での一番の役割は、年に2回、新しいコレクションを発表すること。基幹事業であるバッグの新作発表日は、もう15年目なのに手に汗を握る1日になる。

新作「ミニマトウ」のバッグはこのバナーにあるバッグ。

「身に纏う」という名前の通り、体と一体化したまるで衣服のようなリュック。手ぶらである状態に最も近いリュックを作りたい、という発想から生まれた。

身に纏っている感覚を証明するために、パルクール日本代表の泉選手にバク宙をしてもらった笑。大迫力の動画はこちらからどうぞ↓
https://www.mother-house.jp/event-campaign/minimatou/

これは一年程度かけて開発してきた渾身の作品なのだ。

2020-7-15-1
2020-7-15-2
2020-7-15-3

実はこのバッグはリバーシブルで、パリのマザーハウス を立ち上げている時に、「リュックはスリにあうから持ちづらい」というパリジェンヌの声を聞いて、リバーシブルになりジッパーが見えない裏面を表として持つことができる。

実はこのバッグは、曲線のストラップになっていて、体との密着感を実現している。

実はこのバッグは、極限まで薄くて軽くても、パソコンや、ペットボトル、長財布が入る隠れたマチが備わっている・・・。

やまほど語りたいことはあるのだが、動画をご覧頂ければと思っている。

私は、もう4,000個以上のバッグを作ってきた。
どれも、売れることにはこだわりをもってきたが、「売上」を第一目的にしたことはない。私にとってその新しいものを生み出す意味は、工場にとって技術革新を生み出すか、世の中にとって本当に新しいものであるか、自分にとって挑戦したいものであるか、このどれかに当てはまるものが新作に該当する。

ミニマトウはその中で、本当に新しい「概念」への挑戦だった。
リュックは街でとても多くなった現代だけれど、ミニマトウほどのミニマムさ、極限までの薄さを実現しているものはない。また形状も、少しマントのような感じで、これまでの“リュック”と一見とても違う。そうした新規の試みは、“行動変容”を促すことと近いことを意味していて、「市場に馴染むだろうか・・・」という漠然とした、けれども非常に強い不安がつきものだ。

(こんな先行き不透明な時代に、こんな新規性ばかりがあって全く数字(売上)が読めないプロダクトを発売するなんて・・・。)

私も経営をしているので、そうした気持ちがなかったわけではない。

でも最後に挑戦すべきか否か迷った時に、何を判断軸にすべきだろうか。

「時代を見据える」なんてスキルは私には到底ない。
でも、迷いに迷った時に、私はやはり自分だけの考える時間を持つようにしている。そこで、「自分自身の感覚」に自問自答するのだ。

バッグの場合、実際に使いながら、作り手の視点を離れて使い手に視点に立てるようにする。

ミニマトウを、私は半年近く使い続けてきた。朝の散歩の時、リモートワークでカフェを頻繁に使うようになった時、気持ちが重たい日々もずっと一緒だった。

それでもミニマトウを背負うことで「身軽さ」が心の軽さにつながっていることを実感できた瞬間が何度もあった。
いつもより長く歩ける気がするなぁって思ったり、いつもならリュックをおろすはずのシーンで、背負ったままだった瞬間があって、「あ、背負っていたことを忘れていた・・・」と気がついた瞬間があったり。
その度に「ああ、勇気をもって、出してみよう」と経営者の自分を奮い立たせるのだった。

コロナの収束が見通せず、厳しい時代に生きていくことは変わらない事実なんだなあと受け入れるしかない。

だとしたら、「変化に耐えて、しのぎ過ごす」のか、「果敢に攻めていき生きて行くのか」は二つ、全く異なる人生が描けると思う。私自身も、マザーハウス というブランドも、少しでもよい世の中になるように、後者を選びたいと思っている。

私たちは、製品を作り、販売することしかできないけれど、そこに愛や魂を丁寧に込めることは無限にできるはず。時代や環境にせいにするのはやめて、今自分たちができる生活を豊かに、軽くすることへの提案はなんなのか、知恵と勇気を振り絞ろう。

「ミニマトウ」という商品単体以上に、私は、そんなブランドのメッセージがお客様に届けばいいなと思っている。

そして、私がこうしたものを作り出す過程で最も感化したいのは工場なんだ。新しい挑戦がなくなった工場ほど、墓場のようなものはない。

工場のみんなが、「ああ、今シーズンもやりきったぞ!」と思えることが、コロナのショックや不安を最も和らげることだと私は知ってる。

「打ち込めるものがある」それが人間が不安に打ち勝つ最大の武器である」ことは、私が人生で学んだとてつもなく大きいことだ。

ミニマトウを店頭でちらっと見たお客様が「ああ、こんなおかしなリュックがでてきたぞ、攻めてるな〜」ってクスッと笑ってくれたら嬉しい。そしてそんな経験を、自分たちの糧にできる組織にしていきたい。

コロナで山ほど迷い、考えた末に、なんだか前より一層純粋に、やるべきことが見えてきたなあって、思うのでした。

羽ばたけミニマトウ♪

メッセージを送る