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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

父の免疫力

2020.04.01

先日、コロナ対策会議を最後の事務所出勤日に緊迫したムードの中していたら、携帯が震えた。

「父」となっていた。

私は、非常に嫌な予感がして会議中なんだが外にでて電話をとった。
すると電話口の父がいった。

「いやあ、陶器のようなバッグができたんだ。生地みたいなのに、陶器なんだ!これはすっごい時間かかったんだ。三角のピースをはめ込んで新素材だ。」

「・・・・そう、、、それはよかったね。。

(三角のピースってバオバオか!?)」

「これはものすごく面白いんだ。隙間から縫うこともできる!」

「??(全く想像ができん)・・・・それは、よかった・・・。」

「お前の事務所にサンプルを送る。」

「ええ・・・。(もう在宅になるけど面倒くださいから)ああ、OK。」

と答えた。

「わかった!」と上機嫌な父は、一方的な開発状況を説明し電話を切った。

私は、この会議室の緊迫したムードと、発明王の父のムードの格差に、数秒たじろいだ。

しかし、会議の席に戻った後に、なんとなく、後から、くすくす笑いがこみ上げてきた。

だって、コロナコロナって大騒ぎの中で、きっと父は、タンクトップ(まさに虎さんみたいな風貌で)粘土や生地をこねくり回して、もうきっとそのことが100%脳みそを支配しているくらい夢中な70歳の父がいる。

この瞬間も、世間が日常での必需品を確保しようと躍起になっている時、今も未来も、まるで使用用途も定かではない素材の完成に、ご満悦だと思うと、もう笑えてきた。

そして、不安、恐怖、責任、様々な日々の中で数秒でもクスクス笑いを提供してくれた父に、感謝の念すら湧いてきたのだ。

ありがとう父。生きる強さを。

今の日本に必要なのは、父のような強さなのかもしれない。

(※写真は父が愛用しているアンティークシリーズ笑。)

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