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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

「がんばっても報われない」現象を生まないための心がまえ。

2019.09.13

リアル店舗ひとつで十分?
マザーハウスをはじめた当初、私は「出店」についてこんな風に考えていました。

「オンラインショップとリアル店舗一つあれば、十分じゃない? マザーハウスの世界観をわかってくれるファンも少しずつ増えてきて、わざわざ足を運んでくれるのだし…」

マザーハウスの店舗第1号を構えた場所は、東京でも下町の雰囲気が漂う入谷(いりや)。私たちらしい「色」が出せる場としてとても気に入っていましたが、店をどんどん増やしていく意味については、正直わかっていませんでした。

インターネット通販の普及が勢いを増し、「ミニマムにビジネスをする」というのが流行っていた時期でもありました。

そんな時、「いや、そうじゃない」と反対したのは、副社長(当時)の山崎大祐でした。

「世界に通用するブランドを本気で目指すのなら、百貨店で挑戦すべきでしょう」
 
 
今なら分かる副社長の指摘
彼の指摘はもっともだったけれど、私はまだ半信半疑でした。

当時のマザーハウスは、周りに明確なライバル店がなく、何とも比較されない環境に身を置きながら、〝それなりによく見える〟というぬるま湯に浸かっていたんです。と、今ならわかります。

実際に、その後、小田急百貨店新宿店のかなりいい場所に、マザーハウス4号店である当時初の「百貨店内店舗」を構えたときには、まさに冷水を浴びせられる思いがしました。

隣接する他ブランドの店舗と比べて、なんと店装が未熟か。レジのオペレーションも遅すぎる。

その差は歴然で、もちろん、お客様は正直でした。

ハイレベルなステージに並んだ途端、私たちは「完敗」でした。

売り方だけじゃありません。商品の力も完全に負けていました。デザインも、縫製も、価格も、全然足りない…!

何を変えるべきか、一つひとつ見直しせざるを得ませんでした。

こうして私たちは、「負けを認めること」から何度も学び、成長してきたよに思います。
 
 
「どの土俵で戦うか」を間違えない
さらに大事なポイントがあります。「戦う土俵の選択」です。

これは、強調しすぎても、足りないぐらい「とっても大事なこと」です。なぜなら、一歩間違えると、「がんばっても報われない」現象を生んでしまうから。

私たちがあの時、入谷の店舗が大きな利益を生むまでがんばり続けようと、ある意味で「誠実」に見える方向性に舵取りをしていたなら…。

おそらく数年間は、バングラデシュの工場のみんなのがんばりは報われなかっただろうと思います。

「適切なる競争の舞台を探すこと」は、実は、競争に勝つことよりもずっと大事なのですが、あまり意識されないことのひとつです。

コンフォートゾーンから飛び出して競争現場に出ていくことは、自らの学習機会を得ることと同義です。

「今自分がいる舞台の選定・設定は、本当に正しい?」

道に迷ってしまったら、みなさんもぜひ一度問い直してみるといいのかもしれません。

*このエントリーは『ThirdWay 第3の道のつくり方』から一部を抜粋してnote用に編集したものです。多くの方々に「ThirdWay」の思考法をお届けしたくて、本の内容をいくつかのパーツに分けて再編集して、noteで公開していきます。本やnoteの感想を「 #私のThirdWay 」というハッシュタグをつけてぜひ投稿してください。一つ一つ大切に、すべて目を通すつもりです。どうぞ、よろしくおねがいします。

(編集協力:宮本恵理子・竹下隆一郎/ 編集:大竹朝子)

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