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山口絵理子の日々思うこと。

「コンセプト」共感と「モノ」共感。 私たちが”らせん階段”をのぼる理由。

2019.09.11

私はこれまで、とにかく手を動かしながら、マザーハウスの社会的な理念とビジネスの両立について考えを深めてきました。この記事では、私がたどったビジネスをより大きくしていくために必要になる、思考のターニングポイントについて自分の経験をもとにお話したいと思います。

起業当初は、私のビジョン、ストーリーに賛同したという動機で、大切なお金を支払ってくださった方々が多かったように思えます。

しかし、あえて自分に厳しい言い方をすると、それは一つの小さな円の中で行われる商店であり、ビジネスではなかった、と今となっては思っています。

ストーリーに共感し、「応援したい」という動機でモノを買ってくれる。これだけで成り立つのは、売り上げ規模としてせいぜい1億円程度だと思います。

私が好きなチーズケーキにたとえて説明してみます。東京に1店舗しかない、オリジナリティのあるチーズを使った、チーズケーキ屋さんがあるとします。

マイナーなエリアにあり、駅から徒歩15分もかかるのに、長い列ができていつも満員。並ぶ人の全員が、そのチーズケーキを知ってわざわざ来ている「目的客」の方々です。

このお店が百貨店のデパ地下食品売り場のスイーツコーナーに出店する場合、お客様の多くは「通りすがり」の方になります。

路面店でやっていた情熱的なチーズのつくり方を説明する余裕もなく、「見ただけで美味しそうと思えるか?」が厳しく問われる。その時間は、2秒ぐらいでしょうか。

家路を急ぐお客様に瞬間的に伝わる情報ってなんだろう? サイズが限られたショーケースの中で、どうケーキを並べたらいいんだろう。

「競争に勝つ」ために考えなければならないことは山ほどあります。迷っている間に、隣のライバル店にお客はどんどん流れていきます。

しかし、この厳しさが「円を大きくすること」であり、本当の意味で「お客様に選ばれること」だと私は思っています。

私たちマザーハウスは、「コンセプトがいい」とよく言っていただきます。でも、それだけでは足りない。

買ったものは自分に似合うだろうかか、使えだろうか、役に立つだろうか

テンションが上がるかな、人から褒められるかな。

当たり前ですが、お客様がそうやって具体的な「メリット」を考えながらモノを買ってくれます。

ともすると創業期には、最初の「100%自分たちに共感してくれるお客様」層の中に留まる傾向があります。それは心地よく、周りは味方ばかり。けれども、本当にビジョンを達成したいならば、そこからぐぐっと大きな外周へ出る勇気と覚悟が必要です。

そうやって初めて個人商店から組織へ、単品からブランドの世界観へ、ぐるぐると「らせん階段」をのぼることができるのです。それは痛みを伴いまうのときもありますが、社会へ発信したいメッセージがあるならば、避けてはいけないことだと思うのです。

*このエントリーは『ThirdWay 第3の道のつくり方』から一部を抜粋してnote用に編集したものです。多くの方々に「ThirdWay」の思考法をお届けしたくて、本の内容をいくつかのパーツに分けて再編集して、noteで公開していきます。本やnoteの感想を「 #私のThirdWay 」というハッシュタグをつけてぜひ投稿してください。一つ一つ大切に、すべて目を通すつもりです。どうぞ、よろしくおねがいします。

(編集協力:宮本恵理子・竹下隆一郎/ 編集:大竹朝子)

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