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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

凛。

2019.02.07

凛というバッグが開発されました。

このバッグの開発秘話をちょっとここで。
(ちょっとマニアックですみませんが、ブログなので許してください。)

13年バッグを作っているけれど、何かいつも惹かれる対象は似ている気がする。
空だったり、花だったり、自然界を代表するモチーフが好きで、
なんとなく異なるモチーフに惹かれるようになるというよりは、
同じモチーフを掘り下げて、今年ならこう解釈するな、と思う傾向にある。

私にとって、その中で生き物として惹かれるモチーフに「蝶」がある。
実は2012年にも「蝶」をテーマにしたバッグを出したのだが、
その時は、蝶の刺繍をあしらった、装飾感が強かった。

でも好きなものは好きだから、図鑑でよく蝶は調べるし、蝶への愛はもちろん不変だった。
思い起こすと、バブルがはじける前の山口家(笑)には立派な応接室があって、
そこの猫脚のテーブルの中を除くと、ガラスケースになっていて、
中には、針に刺さった蝶の標本がずらっと並んでいたのだ。(バブリーでしょう笑)。

子供ながらに、羽根の色の美しさに見惚れ、
何時間でも見ていたが、「羽根ってよく見ると、粉じゃないか。」とも思った。

それから、私は「鱗粉」という存在をしった。
「そうなのか!蝶の羽の色は、鱗粉の色だったのか!」

そして私は春や夏になると蝶を捕まえては、
羽根をこすり、指についた鱗粉を見て見る、という挑戦がはじまった。

「あ、、、鱗粉ついた・・・。」

オレンジとか、白とかの粉が指につき、蝶の羽根自体は透明に近い事実が明らかになった。
しかし同時にもっと衝撃的な事実がわかった。
「あれ・・・。」

鱗粉を取ると、蝶はたちまち元気がなくなるのだ。

「うそ・・・・。」

申し訳なさでいっぱいになった私は、
「鱗粉と“羽ばたく”力の関係」を調べはじめた。
事実としては、鱗粉がとれても飛べる蝶はいるが、
鱗粉は空気抵抗を下げている可能性があるらしく、飛ぶ力と関係が強いらしい。

さらに興味がわいて、なんでそもそも多種多様な模様があるのか、ということも調べ始めた。

黒い点がある蝶は、ワシやタカの目玉に似ていて敵を脅かすとか、
あるいは鮮やかな彩りのものは異性を魅了し、子孫を残すため、など、
本質的に生き残るために彩られた鱗粉と、羽根の存在は私にとっては最高に興味深いものだった。

今回は、そんな標本調査から同じ“蝶”というモチーフだが、
あえて「羽根の配色」という鱗粉のことだけに愛を注ごうと思ったのだ。
中でも素敵な配色をもつ4つを選び抜いた。
ルリシジミ、アカネアゲハ、スミナガシ、オオムラサキ。

鱗粉の色っていうのは、相当難易度が高い。
なめし工場で、この微妙な自然界の色を表現した。
ベースの羽根の色を革でなめした後に、
私はもう1色の色をバッグの内側の部分と、「コバ」の色に適用した。

最初、アンニュイなグレーがかったブルーに、
ネイビー色のコバを効かせるなどちょっとどうなるかわからなかったが、
最終バッグになった時「やっぱ、蝶、さまさまだな。。。」と思ったのだ。

自然界の美しさには絶対叶わない。
忠実に、誠実に、配色を表現し、
飛躍の力があふれた凹凸感ある羽根の表面を皮のシボ感で質感を再現し、
このバッグは完成したのだ。

私のマニアックな鱗粉話から、
「Rin-凛-」という爽やかなネーミングをつけてくれた
コミュニケーションチームのみんな、ありがとう笑。

バッグが凛としているから、らしいが、鱗粉から凛だと私は最後まで信じている。

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Rin-凛-の特設ページはこちら

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