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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

ダブルカントリーズ。

2018.10.13

「インドネシアとスリランカが協力して一つのジュエリーを作り上げる。」

2015年に立ち上げたインドネシア。2016年にスタートしたスリランカ。
どちらもジュエリーを作っているけれど、
線細工という伝統工芸に特化したインドネシアに対して、天然石を使ったスリランカのジュエリー。

どちらも違うお客様がいて、私たちはそれを国の個性だと思って
一つの国で採れる素材をその国の中で形にすることにあくまでこだわってきました。

しかし、私は二つの国を行き来しながら、一つの妄想をはじめました。
「この二つの個性が組み合わさったら素敵だろうなあ・・・。
スリランカの石をインドネシアの線細工に組み合わせたら、絶対に素敵だろうなあ・・・。」

頭は創造でいっぱいだったのですが、実は私は、なかなかもじもじして、言い出せなかったんです。
その理由は、なんか恥ずかしいんですが、
「スリランカにとっては、石を提供することが加工の仕事をインドネシアに渡すことになるし、
もしそれが大ヒットしちゃったら(笑)悲しむかな、、、」と思ったんです。。。

もじもじさんを数ヶ月続けながら、私は意を決してスリランカの大槻さんに伝えました。
そしたら本当に快く、「面白いものが必ずできるでしょうね。」と言ってくれたんです。

その返事を聞いた時、私、泣きそうになってしまって。

国を超えたり、自分の利害を超えて、
純粋に「ないもの」を作ることに心からワクワクをもってくれていることに、
「ああ、素敵な仲間に囲まれているなあ」って感動したのと、
本当に「今までにないものを作りたい」というクリエイションにかける情熱で。

ただ、現場ではそこから苦労のはじまりでした。

インドネシア・ジョグジャカルタの村で職人みんなに、きれいなスリランカの天然石を見せました。
一言目の「クチル!!!(小さい)」

線細工はできるけれど、石留めになれていない、というか、
はじめてのみんなは、石の色にもびっくりしてたし、カットの精密さにもびっくりしていました。

「これをフィリグリー(線細工)と組み合わせるんだ。
あくまで主人公はフィリグリー。天然石は、フィリグリーに華を添えるように。」

これが私のコンセプトでした。
花や葉、風などジョグジャカルタの大自然のモチーフの中に、
色とりどりのフィリグリーを本当に「添える」ように配置しました。
線細工と石留めの技術は全く異なるため、
この融合には技術的な困難さ(石を留めようとすると線細工に影響がでてしまったり)がやまほどありました。

でも、あまりにも長く、濃い開発プロセスの中で私たちが得たことは計り知れません。

国を超えて、クロスボーダーで、ものづくりをするという哲学的な挑戦は、
これからアジア5カ国の物作りの幅を確実に広げる先駆け的なクリエイションとなりました。

そして、私はこのシリーズを作る過程で、
モノに対する美しさと、プロセスにかける美しさの、
両方が重なりあう新しい美しさに今まで以上に取り組みたいと思いました。
長くなってしまいましたが、私たちがこのシリーズに込めた考えや背景です。

ジョグジャカルタの大自然に包まれて居心地良さそうにしている天然石を、どうぞお店でご覧ください。

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山口絵理子

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