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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

健康診断@自社工場

2018.08.11

今日は、自社工場ではじめて導入された福利厚生の一貫である、メディカルチェックが工場内で
行われた。

日本の医療機関のバングラ支部の方と提携させていただき、最高の準備を整えてもらった。

しかし、昨日の夕方「注射は怖くないからね!」というマムンさんの異例の集合会見が行われ、
事態は予想外の展開へ。

実は、注射+尿検査というのは私たちスタッフのほとんどにとって、
未曾有の戦いだったのだ。

「今まで病院なんて一度も行ったことがない」スタッフがほとんど。

こんな言葉を聞いた。

「あの革を突き刺している針と同じような針なんでしょう。」

「・・・・・・。」

確かに針の威力はみんなの方が熟知している。。。

今日10時から白衣をきたドクター達が到着。

手早く準備を進めてくれたが、230人ものスタッフの健診は2日がかりなのだ。

まずは血圧、体重、身長などの基本的な測定だ。

みんな身長も久しぶりに測るのか、きゃっきゃっとはしゃいでいた。

しかし、全ての測定が終わった人は、
「注射の列にならんでください」だ。

女性たちからスタートした。

私は「面白そう!」と思って、携帯のビデオや写真を撮っていたのだが、
すぐに、「そんな場合じゃない」と思った。

なぜなら、本気で、本気で、目の前の女性のスタッフが震えているのだった。

「どうした?怖くないよ〜。」というと
ぶんぶん、と首をふるばかり。

「すぐに終わってしまうから大丈夫だよ。」といっても
ぶんぶん、とまた首をふる。

「腕をだしてください。」と冷静なドクター。

サリーの服は意外とタイトで、一緒にまくってあげないといけなかった。

その時私はとても驚いた。

彼女の背中から手の平までほんとうにカチカチにこわばっていたから。

私は背中をさすりながら
「今朝何食べたん?」と聞いた。

「・・・・米だ。」と返答がきた。

「あははは!米?!おかずは?」と聞くと
少しだけ笑ってくれた。

でもいざ、先生が注射を用意すると
再び、手がぶるぶる震えだしてしまい、
注射が刺さった瞬間には、泣きそうな声をあげた。

そして、彼女の涙がポロポロと溢れだす。

「大丈夫だよ。あとちょっとで終わるからね。」

今度は首を振らない。

針が取り出され、止血になった。

彼女は目にいっぱいの涙をためて、
尿検査の便を持って出て行った。

私は、なんだか自分も疲れてしまい、「やれやれ」と思いながら
サンプルに戻ろうとした。

すると、並んでいる列が目に入り、そこには
彼女と同じような表情の女性スタッフが山ほどいるではないか・・・・。

この後から、約3時間以上。

女性スタッフと共に、採血の挑戦が続いたのだ。

途中、サンプルが滞りモルシェドがいたたまれなくなり、
ラフサンプルをもって注射のところまで聞きにきた。

「マダム、裏地の構造は?」
「それどころじゃないんだ!自分で判断してくれ!」

本当にそれどころじゃなかった。

私も、最初は「注射くらい」と笑ってしまっていたが、
みんなにとっては、昨日から眠れなかったスタッフが何人もいたことが判明。

私がサンプルルームに戻ろうとすると
「だめだ、ここにいて。」と強く言われ、正直、看護婦ばりに頑張った。

問診票を持って椅子に座る彼女たち一人一人と、いろんなことを話した。

正直言うと、私はこれまで、男性スタッフとばかり、開発プロセスを
議論してきた。

かなり込み入った技術的な話となると、スーパーバイザー以上の知識が必要で、
それらが全員男性だから、今日はじめて、
採血を見守りながら、女性スタッフとここまで近くに、
しかも、全員と話すことなんてなかったことに気がついて、反省もした。

机の下にある手が震えている子ばかりだったから
みんなの背中をさすりながら、私は笑わせようと全く関係のない話しを
していた。

「何時に寝た?」とか「旦那さん元気?」とか。

でも、彼女たちは、そんな緊張の中でも、こんな言葉を発してくれた。

「怖いけど、私、マトリゴールでよかった・・・。」

「注射いやだけど、自分のためにやるんだって、わかってるの。そうしたら家族が安心するでしょう?」

かわいいヘルパーの子がいった。

「私は注射なんて平気なの。でも針は見ないようにする。
マダム、私はマトリゴールでずっと働くからね。」

みんな、涙をポロポロ流したりもしたし、中には
「私の体調には何の問題もない!」と言い張って、注射を拒絶をする子もいたり
大変だったけれど、注射が終わると
ものすごい速さでケロリとして、ニコっとしていた。

みんながみんな、かわいすぎて、愛おしすぎて。

はじめての挑戦に震えた子たちもたくさんいたけれど、
みんなまた一つ、強くなって、大人になった。

そして、もっと強くなったのは、マザーハウスとみんなの絆のように思った。

階段に、お掃除のおばさんがいたので
「あなたは、チェック終わったの???」と聞いたら
え?という表情をした。

「終わってないの?女子はもう終わってしまう時間だよ。
早く行きなさい」と私は彼女につげて、
順番を管理していたマネージャーに彼女を入れ込むように伝えた。

夕方、玄関を掃除しているおばさんと目があって、
「マダム、あなたは本当にいい人だわ。」って
抱きついてきたので、すごくびっくりしてしまった。

聞くと、自分もチェックを受けられるなんて考えてもいなかったらしい。

「当然だ」と言うと、彼女は泣きそうな表情で、ありがとうと言っていた。

私は、「採血」という面白いきっかけを通じて、
彼女たちと何だか近くになれた気がした。

そして、彼女たちの背中をさすりながら、
(ああ、この子たちのために、私、がんばらないといけない。)って本気で思った。

みんなの人生を背負うなんて大げさな言葉は嫌いだけれど、
私は、この子たちの体が健康で、心が健全であるように「できることを」していきたいって、改めて思った。

「できること」には限界があるかもしれないけれど、せめて、「できること」をしないのは、やめたい。

その一番土台の土台が、「この工場にいる」時間。

みんなが「守られている」という安心感を持って働けるようにすること。

今、国の治安が悪化方向にあって、9月末以降は私も出張を
控えなさいと言われている。

そんな国だからこそ、何が何でも工場内だけは最大限の「安心」と「安全」を構築していこう。

それができてこその、品質と、職人としての技術の向上がある。

「ここが心配なの。」と体の不調をコソコソ私に教えてくれるスタッフもいて、
「採血終わって、来月ドクターが来て、一対一で話す時間があるから
その時に全部聞いて見たらいいからね。」と言うと
言葉に表現できないくらい、ものすごく安心した顔をしていた。

そんな顔を守り続けるため、私にはモノを作る大きな理由がある。

と意気込んでサンプルテーブルに戻ったら、
なぜか私が貧血に陥る、という明らかにおかしいクライマックスを迎えたのだった。。。

(何か因果関係があるのだろうか・・・・)

とにかく、本当にBigな学びの1日だった。

特に頑張り切った、3人の写真を紹介します!

blood test

blood test2

blood test3

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