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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

ケイトスペードさん。

2018.06.17

6月5日に、デザイナーのケイトスペードさんが亡くなられた。

自殺だったと記事で読んで、本当に、今でもだけれど
ショックでなんとも言えない気持ちでいっぱいだ。

彼女は1993年にケイトスペードハンドバックスという
ブランドを旦那さんと立ち上げた。
今や世界に300店舗以上もある。

私は彼女を個人的には知らない。

ただ、同じバッグブランドとして、フロアが同じことは
しょっちゅうだったし、日本橋の催事なんかは隣同士だったり、
価格帯も近くて、お客様も多少かぶっていたから、
起業当初は特にいつもいつも彼女が打ち出す世界観や、
新作を、もちろんテイストはおいておいて、とても注目していた。

白と黒のストライプのバッグがここまでお母さん層に
受けいれられるのか・・・とか、結構細かいことまで耳に入ってきたりした。

彼女の表参道の路面店にはその世界観が存分に表現されていた。

一言でいうと「陽気」だった。
明るくって、色がいっぱいで、1つの全くオリジナルなスタイルを確立していた。

でも2007年にアメリカのブランド「コーチ」に、
彼女は自分のブランドを売却した。

2007年の私の彼女のブランドの印象は、本当に勢いがあった気がした。

なんでだろうって思ってた。

でもその後毎年毎年、出店は加速しているのに、
クリエイションのピースは、少しずつ何かが外れていっているような、
本当に端から見た印象だけなんだけれど、そう感じていた。

記事によると精神的な病気で苦しんでいたと書いてあったけれど
詳細は書かれていない。

私は特に鞄業界を意識することはないけれど、個人の主観で世界観を
繰り広げているデザイナーさんの生き方や価値観はいろんな視点から
刺激をもらっている。

あの陽気な世界観は、彼女しか作れなかったと思う。

それだけ考えても、とてつもないプレッシャーだったのではないかなって
思うし、きっとクリエイションとビジネスの間を何度も行き来していたのかもしれない。

私には到底理解できない高い次元の世界だけれど、
命をかけて作り上げたその世界観が、これからも、
人々を陽気にしたり、何かの形でそのピースが生き残ればいいなあって、
全然知らない人なのにとてもとても心から思う。

そして、改めて、「ビジネス」と「クリエイション」を
特にファッションの業界で、両立させることの難しさを感じる。

大好きだったドリスヴァンノッテンも、身売りを決めた。

なぜ、そこまで資金が必要なんだ。

彼のクリエイションの哲学を守ろうとしたらそんなに拡大路線は
必要ないのではないか。

どっちが、大事で、どうバランスを取ろうとしているのか。

ビジネスを守り、雇用を守った上で、
幸せそうにクリエイションをするデザイナーさんを私は知らない。

そうなりたい。

日本に帰ったら、ケイトのバッグはさすがに無理だけど(笑)小物を買いにいこうかしら。

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