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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

石を作る。

2018.06.16

今日は、本当に大変な一日だった。

石の研磨をやりに石工房にいく。

いつも私は、大槻さんという安心できるお父さんのもと、鋳造・加工の工房にいる。

けれど、作れば作るほど、素材に全てがかかっている。

バッグだって、どれだけ縫製や組み立てではなく「革」からくる競争力があるか。
今生産が追いつかないインドのシャツもカディという特別すぎる綿がなければただのシャツ。

だから、スリランカで作るジュエリーも、石が本当に「肝」なんだ。

大槻さんは加工の現場で監督仕事があるため、なんと私だけではじめて行くことに。

初級レベルの「しょ」くらいのシンハラ語でわたくし、車に乗り込み、
一番難しい形の石を仕上げるという、「はじめてのお使い」に。

到着したのを「サマンタ」さんの「サマンタ工房」。
スタッフはまだ5人しかいない。

しかし、到着してすぐに4人しかいないことに気がついた。
ニコニコしながらサマンタが、
「一番いい職人が今日はこない。」と言った。
「は?」
「大丈夫。僕がやるから♪」と笑った。

不吉すぎる。

そして、その勘は的中した。

必死に仕上げた私のワックスの原型を渡した瞬間に、落とした。

見失った。

探した。

見つからない。

大騒ぎ。

やっと見つけた。

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という珍道中の香りがぼわーーんと、ただよい、更に汗がでる。

そして私がこの通りに、サイズを小さくしてくれ、と言って最初はシトリンという石ではじまった。
しかし、隣でじっと観察していくうちに、本来削ってはいけないところが削られていく。

「エパエパ!メヘ カッパネパ! マゲサンプル バランナ!待って待って。そこ削ったらだめだよ。よくみて!」
もう多分、ぐちゃぐちゃなシンハラで迫力だけでスタート。

ここはフラットで、ここはカボッションで丸みを出して、と指示をして、分かった、といって更に継続すること1時間。
サイズはいい感じになったが、最終形を見ると、やっぱり何だか違う。

「そうか、私のキャンドルがあのサイズならよかったけれど、単純に小さくしてもかわいくないのか。」
という痛恨の事実が判明し、ごめんなさい、して
「私のサイズが間違っていた。これを3ミリに変更して。ここは2.7ミリで。」

新しいサイズ=新しいサンプルがスタートだ。
新しい石が削られていく。
12時を回った。
暑い。

最終的にできたものは、やっぱりそれでも違っていた。
「いいたいのは、ここは真っすぐ平ら!ここはカーブ!わかったか!」
もう最後はキレ気味になって、私はサマンタに伝えた。

スリランカ人は、反応が薄い。
わかってるのか、わかってないのか分からない。
私が反応が濃すぎるベンガル州の血を受けてしまっているから。
そういう意味で日本とスリランカはちょっと似ている。

そしてサマンタがまたあれこれ、やり方をスタッフに伝えはじめた。
「ここをこうして、こうやるんだよ。」
サマンタが伝えているのは若い男の子だ。
若い男の子は「ん?こうじゃないの?」とぼそっと言った。
「そうだよ!!」と私は叫んだ。

わかってる人いるじゃん!と心から思った。救世主だ!

それなのにサマンタは、「いやいや、違う違う。」と言って、口論がはじまってしまった。
この口論を見届けること20分くらい。
私は言った。
「サマンタ、彼分かってるよ。彼にやらせてくれる?」

サマンタはどこか外に出かけていった。
彼は何度も考え込む場面があった。
でも、自分で考え抜こうとする姿は私の経験上、数少ない職人気質の人だと思った。
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1時間後、サマンタが「ビックプロブレム〜難しい〜新しいもの〜」とニコニコしながら帰ってきて、「パン食べて〜」と持ってきてくれた。
外で買ってきてくれたんだね。本当に優しいね。

でもね、それどころじゃないんだよ、と心でつぶやいた。
私は彼の背後にずっと佇み、研磨の様子をじっと観察していた。
「そこ真っすぐ。もう少しやってみて。」
「今、何ミリになった?」
「あとちょっとだ。」
そんな風に至近距離でやりとりを2時間。
もう14時になった。
そして、、、、「できた・・・・・。ホンダイ(いい)、ゴダックホンダイ(とってもいい)」

サマンタは再びどこかへお出かけしている間に、私はこの小さな工房で男の子とはじめての石を作り込む感動を味わっていた。
「サマンタ!これと全く同じものを本番の石で作って!!!全く同じ物!
メーカサンプルエカ ウィディハタマハダンナ!」

念には念を押してわれわれは、使いたかった可愛い色の石に着手した。
ずっと使いたかった。
名前はシャープなのに、色はとってもかわいいのだ。
そのギャップが好き。

そして形は成功したように思えた。

男の子が私に寄ってきて(はじめて)、携帯を見せて、
「写真一緒に。」と。

「まじ!」私はとても嬉しかった。

そんな瞬間。一緒に作ったね。思い出は、蓄積される。

車中爆睡してしまい、工房について大槻さんに見せた。
「これだと留められないなあ・・・。」

ガーン!!!

学びの多い一日、スリランカのこと、いるほど好きになる魅力がある国だな。
(中央がサマンタ)
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