MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

タクシーの運転手さんと朝。

2018.05.19

ジョグジャカルタに続き、今日からバングラデシューネパールの周遊チケットだ。

私は心配性なので、とても2時間以上早く空港にいく。

早朝、自宅付近でいつものように手をあげタクシーを拾った。

個人タクシーだ。

「荷物いいですか?」

トランクをあけてくれたおじさんは50代半ばだろうか。

「あなた、ずいぶん、いろんなとこ行っとんね!」

色んな国のシールが貼付けられ、まだ1年も経っていないのにボロボロの私の
トランクを積みながらおじさんはそういった。

「今回もどこか海外にいくのかい?」

「はあ。」

私は音楽をガンガンに聞きながら行くのになぜかすぐにおじさんは話しかけた。

「俺はパスポートなんかもっとらんよ!!国内専門だよ!わっはっは」

あまりにも豪快に笑うため、私の大好きな洋楽はかき消され、聞く気力も失せた。

「どこらへんが多いんだい?」

「国っすか? まあ、インドとか。」

私は、適当に応えるときにいつも、バングラというと話しがややこしくなるから、
とりあえずインドって言っておく。
(ほんとすみません・・・)

「ほーー!!!インドね、あそこはカーストがあると聞きますね!」

「まあ、そうだね。地域によるんじゃない。」

適当すぎる返事をした。

「最近は、女性の方が行動力がありますもんねえ。」

「そう?」

私は別にそう思わないため、また適当な返事をした。

「この前ラジオ聞いててもびっくりしましたよ。」

(もしかして東京駅までずっとしゃべり続ける気か。)と
少しげんなりしていた。

そして次の瞬間、そのげんなりは、変な汗に変わった。

「ラジオでね、バングラデシュっていう国で、バッグを作っている女性の
話しが流れたんだよ!
バングラっていったら、インドよりひでー国でしょう?!
あんなとこで、モノを作っちゃおうっていうんだから
おったまげましたよ!なんていったか、会社の名前は
覚えておらんが・・・。まあ、たまげたもんだ!」

「・・・・・たまげたもんですね。」

私は、早朝の皇居を眺めながらそうつぶやいたのだった。

幸か不幸か、そのバングラの女の話しはそこで終わった。

降りる時、「どうぞ気をつけて。」と
おじさんは満面の笑みで言った。

意外と最後はとてもさわやかだった。

私はふと、パスポートをもっていない人たちも日本には
たくさんいるのかと、実感した。

世界中を旅をするように仕事ができることが、どれだけ
価値あることなのか、100%忘れていた気持ちを思い出させてくれたおじさん、
(バッグ作ってくるよ。)と私は心の中でつぶやくと
なんだか異常にやる気と笑いがこみ上げてきた。

がんばるぜ。

メッセージを送る