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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

夜明け。

2018.02.17

世の中のクリエイターという職業の人を心から尊敬する。

私は、こんな心臓に悪い職業、もうやめたいと心から思う時がある。

それは年に二回。

春夏と、秋冬の新作が発表になった時。

今回「夜明け」というテーマで挑んだ。

「挑んだ」という表現が適切だと思う理由はたくさんある。

実は、このプロダクトは自分の中で、「流れ」に真っ向から逆らった
ものだったから。

それは、世の中の流れとも、マザーハウスの中の売れ筋の流れとも。

とても勇気が必要だった。

これまでは、発売してから気になって日報をすぐにチェックしていた。
でも、このシリーズは三日前から怖くて日報を見ていない。

でも、少しだけ良さそうな声は山崎とMDから聞いた。

いずれにしても、自分では本当にやりきれたプロダクトだと思っている。

実は、その裏側には、自分との戦いがとても大きくあった。

私は、デザインを全て手がけているので一年を通した
商品サイクルの中で生きている。

人生曲線を書いてと言われて、
よかったシーズン、悪かったシーズンで曲線が変わるほど、
新作を打ち出すことは、その時の自分の投影であり、
半期の人生の使い方を評価されるようなものだと
大げさだけど思ってしまう。

世の中には器用にやってのけるデザイナーさんも
たくさんいるみたいだけれど、
私は12年たっても、全く器用にならないばかりか、
泥沼にはまり、ますますクリエイションは難しい領域に
なっているなあと思うときさえある。

そんな私なんだが、春夏というシーズンは、
季節としては大好きだけれど、バッグを作るとき、
どうしても受け身に回ってしまう自分がいた。

受け身の意味は、わりと確実性の高い路線や、
コンサバな色選びだったり、得意なフォルムを
もってきたくなる傾向があった。

前進するのも大事だけれど、振り返るのも大事だって
学んだから、なぜそう自分が動くのか、を
分析してみることからこの春ははじめた。

それは、秋冬が成功することが多くて、
その反射的な心理によるものだと自己分析した。

季節としても新生活で、情緒的なプロダクトよりも
ちゃんとA4が入るものが、お店が求めるものだし、
お客様もそうだと何度も言われていた。

でも、そんな春夏、そこからの悔しさの秋冬、という
一年の流れを同じように、かなりの年数続けてきて、
どこかで、断ち切りたい自分がいた。

春夏にちゃんとクリエイションに立ち向かう自分。

だめでも世の中にないものを作り、
自分の価値観を勇気もって問うてみよう。

総スカンだったらそれはそれで、
「ナイス トライだった」と自分に言おうよって、
私はスポーツ選手みたいに思っていた。

正解のない中で、自分の感性を信じて作るものが
33店舗に渡り、
一日に何万人の人の視界に入ることは
私には、本当にそれ自体で勇気がいることだった。

売れないシーズンは、まるで自分の存在意義がないように
思えてしまって、何もかも投げ出したくなる
とても未熟な私だった。

そんな自分なのに、今回振り切ってみようと思えたのは
やっぱり、前に進みたい、変わりたいなって、心底、
思っていたから。

私はそんな時、いつも散歩中とか、1人対談する。

なんのための、成功した秋冬なんだよって思った。
前作の秋冬『カゼマトウ』がとても好調にヒットを飛ばしているのに
なぜ春夏で守らないといけないの??

私は自分自身に問いただしていた。

「なんのために作っているんだろうなあ・・・。」

会社が大きくなり、お店も気がつくと30を超えた。
でもそれは全然自分のハッピーにはつながっていない。

思い返せば、心底嬉しかった時は、きれいだなって自分が
思った景色やモチーフが、プロダクトに乗り移って、
バッグさんが満面の笑みをしてくれているとき、
そして、それを作ったみんなも笑顔だったとき。

見たことのないような驚きと、
ため息のでるような、美しさを。

飛行機から眺める夜明けの風景に、私は全エネルギーを
注ぎ込み、それをテーマに新作を作り込み、
マトリゴール工場に託し、今、店頭に並んでいます。

続けることは難しいけれど、
攻めを続けるってことは、何倍も何倍も
難しいことを思い知った。

オリンピック選手の記事を読みながら
なぜか涙ぐむ今日このごろ。。。

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