MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

血圧。

2017.12.12

最近毎日日課がある。

それはモルシェドに血圧を聞く事だ。

私の相棒、モルシェドはバングラ一のサンプルマスター。

彼の体調が前回の出張からすこぶる悪かった。

バングラデシュで一番難しいのは
すばらしいお医者さんに出会うこと。

私も何度病院に行き、むしろ体調が悪化したか分からない。

今は元気なので、ブログを書こうと思ったのだけれど、
正直気が気ではなかったのだ。

私がバングラに到着する日の夜、彼は具合が悪くなった。

そして大事な春夏のファイナルサンプルの初日に
彼は来なかった。

こんなことは今までなかった。

病院に行っているらしい。

ものすごく心がザワザワしながら私は
サンプルルームでフィローズとホクミアと共に
ファイナルを仕上げていった。

翌日、モルシェドが来た瞬間に
安堵と共に、2人で話した。

聞くと、血圧が異常に高くなって
頭がいたくなってしまったそう。
しかも、そこまでいいお医者さんではないと言う。

私たちは情報をフルに活用し、
もっともいいお医者さんを見つけ、
マムンさんに連れ添ってもらい、そのお医者さんにその日に
アポを取った。

彼は病院にいって診断してもらった。

私は糖尿病だと思った。

バングラで一番多い病気だ。

モルシェドのお腹は年々、経営者っぽいお腹になっているし・・・。

ただ、帰ってきたモルシェドは言った。

「糖尿病の検査したよ。僕は糖尿病ではなかった。」

「え!じゃあなんて言ってた?」

「ストレスだって。」

「・・・・・。」

私の来る日に体調を崩したモルシェド。

私の頭の中では、全てが理解できた。

新作のプレッシャー、マダムがバングラに来てしまう。

原因は、、、マダム=私か!!!

なんて酷な話しだ!

「モルシェド、本当のことを話してほしい。ストレスっていうのは
どういうことだと認識していますか?」

「うーん、自分ではわからないよ。そんな風に
思った事はないよ。」

「だいたいストレスで体調を崩す人は、そういうんだよ!」
なぜかややキレる私。

「ストレスという言葉をやめよう。プレッシャーに感じていることは?」

「当然、新作だ。」

「・・・・。」

「仕上げないといけない。常に前回を越えたい。
僕の夢は、Good jobだよ。」

私は彼の言葉を聞くと、涙がでてきてしまった。

私は、デザイナーである自分にかかるプレッシャーは
表現できないものがあると思っていたが、
一番近くにいる彼のプレッシャーにどれだけ向かい合い、
一緒に歩こうとしただろうか。

いつも、私が頼ってばかりだった。

そしていつも彼は、私を励まし、いつだって
たくましい腕で、私の想像を超えるプロダクトを
生み出していく。

そんな彼が私の中ではいつからか、スーパーマンみたいに
なってしまい、モルシェドだったら何でも出来るんだ!って
思ってしまっていた。

本当に反省だった。

これは、今年で一番の反省というか、失敗だと認識している。

「モルシェド、負担を軽減するために何ができるか。」

たくさん、久しぶりに手を止めて話した。

パートナーとして歩いてきた10年。

想い出話しもたくさんした。

「マダムのイメージを形にするんだ」

彼のハートは、マザーハウスのブランドの根幹を形成している。

そしていつだって温かく強い。

私は、彼と一緒に、休みの日はどう過ごそうか、
仕事の話しは少しはやめよう、とか
ストレスマネジメント方法を一緒に話していた。

でも根底にあるのは、彼の凄まじいまでの責任感であり、
それは普通の人が持てる類のものではない。

改めて尊敬の気持ちが沸き上がるのと共に、
私は、なんだか自分が恥ずかしい感じもした。

「マダムはそんなにたくさんの国で、そんなにたくさんの
モノを作って、どうやって乗り切っているのさ。」

彼の素朴な疑問だった。

「うーん、、、!

ベストを尽くしたらあとはアッラーに祈るだけだ。」

そういうと彼は大笑いして、なんだか元気に型紙に向かった。

冗談っぽい私の答えだったのだが、結構大事ではある。

シリアスになりすぎない。

それは真面目で頑張り屋さんな人に言える。

深刻になったら、悪循環に陥ることが多い。

最後の最後は、どっかで重たい頭と顔あげて、
勝ち気に笑ってみる、みたいなこと、大事。

振り返ればそれが運を呼んでくれたこともあった。
その術をゆっくり話しながらモルシェドにお裾分けしよう。

最近は彼に血圧を聞く度に安堵する私でした。

そして、もう少し楽をさせてあげられるように、
申し訳ないが、私のモノ作りのハードルは絶対に下げないので
ルーキー&生意気ホクミアをバシバシ鍛えようと
内心燃えている私でした。

メッセージを送る