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山口絵理子の日々思うこと。

ラホールで思う事。

2017.11.16

いよいよ講演本番の日。

今回の講演会の趣旨は、パキスタンの製造業関係者や手工芸の生産者、
地元のデザイナー、ファッション学校などを対象に、日本からの成功事例を紹介し、
現地のみなさんにとって学びになれば、という意図でJICAさんが主催したもの。

ゴージャスなホテルの会場で行われた。

地元で告知が行われ、講演会前から様々な反響を呼んでいた。

その理由の1つは、日本女性というよりも、
「バングラデシュからブランドを作っている」というパキスタンから見たら、
異質で新しい内容だったからだ。

前日もバングラデシュのことどう思う?と聞くと、非常に複雑な表情を浮かべられた。

そしてマトリゴールの工場のみんなにパキスタンのことを聞くと、沈黙で
眉間にシワを寄せていた。

元々同じ国だったパキスタンとバングラデシュ。

一体私の話しはどう受け止められるのか・・・・。

反感を買わないだろうか・・・。

300人を超える会場で、危険ではないだろうか・・・。

様々な不安があって、私はとても緊張していた。
少しだけ、”誰か代わってくれないかな〜”と思っていた(涙)。

でも話すことで少しでもポジティブなパワーを生むかもしれないし、
バングラデシュの例など、私にしか話せないじゃないか、と覚悟を決めた。

会がはじまった。

偉い人たちが挨拶をする。

司会の方が美しい英語で私を紹介してくれた。

(よし、いよいよか。)と立ち上がろうとした瞬間

“ガシャン”

停電が起きた・・・・。

(まじかよ!!!汗!!)

会場がどよめき私はパキスタンではじめての停電を講演の1分前に経験する。

(くそ、マイクも通らない、地声でやるしかない!)と覚悟を決めて立ち上がり、
近くで大笑いしている山崎を睨みつけた。

(持ってるな〜山口さん。)と爆笑している。ふざけるな。

しかし演台に向かう途中に照明が復活した。

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最初の一言は、パキスタンでもバングラデシュでも同じ挨拶にした。

「アッサラームアライクム。」

会場のみんなはとても元気よくにこやかに「ワライクムアッサラーム」と返してくれた。

「私は日本から来ましたが、バングラデシュでかなりの時間を過ごしてきました。
なぜならそこに私の自社工場があるからです。
200人のベンガル人のみんなとブランドを作ろうと24歳の時に立ち上げたんです。」

そんなことを言っただけで、ステージから見ると会場みんなの眼光が
開いているようなすごい前のめりな姿勢をびしびし感じた。

IMG_7076

「マザーハウスという会社は、製造と店舗を直接運営しています。
ユニークなことって何か?それは、製造が全て途上国で行っていること、
そして販売は全て先進国で行っている事です。

なぜなら、製造、商品を通して、どんな国でもやればできると
伝えたいからなんです。

そんな試みをしながら11年歩いてきて、32店舗、スタッフは
6カ国で350人になりました。」

そういうと、なぜか会場から大きな拍手が起こったのだ。

私の方がびっくりしてしまった。

「事業を行い、リーダーとして存在するのに一番大事なことは、
哲学と情熱だと私は思っていて、それは私自身の生き方から生まれてきたので
自己紹介をさせてください。」と言った。

それからなぜバングラデシュなのか、なぜバッグなのか、
なぜマザーハウスなのかを話した。

その度に会場から大きな拍手が起こった。最後に、話した。

「正直に言うとパキスタンにくる前、とても怖かったんです。そんなイメージがあって。

でも、短い期間だけれど、パキスタンの工場を訪れました。

この国には、どれほどの深い歴史と、多様な手工芸、豊かな素材があるかを知りました。

何より、自分たちの自己ベストを尽くしていると思える生産者、
工場のみなさんと会う事ができました。

非常に大きな可能性がある、絶対にこの国は、付加価値のある商品を作る事で、
みんなのイメージを変えていけると思う。

価格競争以外にも、大量生産以外にも道があることをしってもらえたら本当に嬉しい。」

会場のみんなからの最後の大きな拍手を聞いて涙が出そうだった。

たくさんの質問がそこからはじまった。

「マザーハウスはパキスタンでやるべきだ。一緒にやりたい。私は刺繍を作っています。」

「マザーハウスのチームになりたい。私はジュエリーを作っています。」

「具体的にパキスタンではどの商材に興味関心がわきましたか?」

「やるなら自社工場ですか?提携工場ですか?」

みんなの前のめりな姿勢に圧倒された。

更に後半の質問、
「パキスタンは本当に可能性があると思いますか?
マザーハウスは本当にパキスタンを検討していますか?」

はっきりとした趣旨の質問だった。

この瞬間、正直言うと、頭よりも口が早く反応した。

「勿論です。だからここにいるんです。」

(言っちゃったよ〜〜〜)というもう一人の自分が心で叫んでいた。

次の瞬間山崎の顔をうかがおうと探したが、
会場の後ろの方にいてジャッジできなかった。

変な汗をかきながら、でも会場はすごい熱気と期待と拍手だった。

講演が終わり地元のテレビから早速インタビューが入った。

「ウェルカムパキスタン!あなたのストーリーや生き方は多くの人の希望になりました。
自分たちもやればできるということを教えてくれました」

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インタビューの人がそう言ってくれたが
本当の意味でそれを教えてくれているのはバングラデシュのみんなだと思う。
でも、そこは今は強調しないでおこうと思った。

私の目には、パキスタンは素材の宝庫に見えるし、
手仕事の技術レベルもとても高くて魅力的に映っている。

ただ、何より自分を心の底で突き動かしているのは
バングラデシュとパキスタンという二つの間にある溝なのではないかと
自己分析している。

実はパキスタンのビザを押されたパスポートでバングラデシュに入国しようとした先月、
入国審査で一時間ほど密室でたくさんのことを聞かれて、とても辛かった。

現実は、この二カ国を結びつけるものはないに等しい。

でもだからこそ、マザーハウスという小さいブランドのモノ作りが、
二つの国で行われることで、思想と哲学により、過去の歴史を認識した上でも、
つながれる何かがあることを、私はなんだかとても証明したい気持ちになっている。

全ての国が自分のことばかり考える時代に、一体何が国境を越えるのだろうか。

何により私たちは、もう少し俯瞰して生きている社会を考えられるのだろうか。

1つの企業にできることはないのだろうか。

私なんかが考えても仕方がないかもしれないけれど、
いつかベンガル人の職人さんとパキスタンの職人さんが
マザーハウスという1つ屋根の下で肩を組み合う日が来たら、、、、
そんな新しい夢が生まれました。

いつになるかはちょっと分からないけれど・・・。

講演会が終わりホッとしてトイレに行くと、たくさんの現地女性から写真を依頼された。

トイレでパキスタン女性とセルフィーを撮るとは思わなかった我が人生、

そんな群衆の中にいた一人の女性が言ってくれた。

「あなたは外見はプレーンなのに(これ失礼!平民という意味だろうか?!)
私たちのスーパースターだよ。

そしてなんだかはじめてあったのに、友達でもあると感じた。

私たちもベストを尽くして生きて行こうと思った」と。

私自身が架け橋になれることがあれば、一生懸命取り組みたい。
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