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山口絵理子の日々思うこと。

カトマンズモノ作り。

2017.09.01

ネパールにいる。

毎回バングラデシュからネパールに寄る、というスタンスだったけれど、
今回はバングラデシュがイード(断食祭)直前で安全を期してキャンセルし、
ネパール純粋往復という出張になった。

カトマンズは相変わらずな道のでこぼこだが、それでも数々のことがやっぱり素晴らしいなと感じた。

普通に道を歩けるってことや、タクシーのドライバーさんもホテルの人もみんなスマイリングで優しい。

ネパールでのモノ作りも2009年からスタートして早8年。

田口というカントリーマネージャーが積み上げたベースをもとに、
少しずつ私はここで新しいモノ作りをスタートすることになった。

ドライバーさんとの会話も刺激だった今日。

「ネパールはどう?経済は?」

「いいけど、場所によるよ。僕の村は地震で壊滅した。
家族もみんな今カトマンズにつれて来た。でもカトマンズは色々高くて、大変だよ。」

「政治はどう?」

「中国に支配されているんだよ、この国は。正直、中国は嫌いだ。」

「なんで?」

「厳しいよ、色々。」

彼はあんまり多くを語らなかったが、妥協がないスタンスが僕たちには合わないと言っていたのが印象的だった。

「僕たちはスマイリングカントリーだからさ。自分たちの素敵さは、
自分たちは知っているから、それは大事にしたい。」

私は、初日からそんな言葉を聞いて、色々と考えさせられた。

スリランカでもそうだけれど、ドライバーさんとの会話は
現地の実情を知るには本当に勉強になる。

ドライバーさんは私たちのビジネスの利害関係はないから、
本当に素直に本音を語ってくれるんだ。

「そうかあ。でも国はよくなっているんでしょう?停電がなくなったしさ。」

「うん、電気は大丈夫だよ。それにもうすぐダサイン(ヒンディーのお祭り)があるしさ!
まあ僕は仕事だけれどね、稼ぎ時だから。」

「どうして?」

「たくさんの観光客がくるからだよ。」

「やっぱり観光産業はいい?」

「去年よりは少し減っている。でも、減ったり、増えたりさ。」

彼の言い方がなんだか、ネパールの気質を表現しているように思えた。

そんな会話をしながら私ははじめての工場に今日、2社も訪れた。

新しいものを作りたいと考えている。

だから、出張の中でも今回は緊張もあるし不安もある。

だけどそれよりも「やってみたい」「作ってみたい」という気持ちがいつも上回る。

最初にいつもお世話になっている工場で情報収集をした。

どんな些細なヒントも逃したくないなって思うから、メモがぐちゃぐちゃいっぱいだ。

そんな時に思わぬ出会いや情報があって、今日はもうその興奮でいっぱいだった。
会話をしながら「なんてラッキーなんだろう・・・」とつぶやいてしまったほど。

昼前に新しい工場を訪問。
私はそこにいるサンプルマスターがどんな人か、日本にいたときからずっと気になっていた。
彼は無口だったが、一緒に仕事をはじめた。
一緒にサンプルを作る事ほど、その人を知れることはない。

私が作りたい物はやや複雑、ややじゃないかな、結構複雑だったのだが、とりあえず型紙を作ってみることにした。

私自身も学ぶ事がやまほどあった。
「どうしてそうするの?」「なんでそこに、これを描いたの?」「なぜ、なぜ?」
質問ばかりの私に、たまに苦笑される。

ときどき、「だめだよ、そこはこうだよ」と言うと
「分かってるよ!」とやや呆れた顔で言われたりした笑。

毎回思うが、型紙というのは、奥が深い。

紙で作る立体を展開した平面図。そこからできあがる立体を想像しながら作る。

これは鞄でも木工でも同じだが(ジュエリーは部分的な技術にのみ使う)立体を想像してから
平面に戻すわけで、そこの2Dと3Dの行き来が頭でできるかが鍵となる。

途中足りない部材を調達しにいくが、なかなかやっぱり、いいものは手に入らない。

「インドからの輸入で、1ヶ月かかる。」と言われることが多い。

それでもバングラのように、何万の個数を要求されることがないだけ、幸いだ。

その国はその国のメリットデメリットがある。

例えばビジネスを立ち上げるときの環境。
バングラデシュの利子は17%程度。
インドは7−8%。
ここネパールは10%だ。

更に輸出する工場に対して輸出振興のため、インセンティブという制度がある。
輸出した額の数パーセントを政府が還元するという仕組みだが、
これはバングラデシュの場合はとても大きくて、大きなメリットとなっているが、
ネパールではそれが導入されたのがつい2年前のこと。

ただし、現地の情報だと申請しても、政府とのやり取りに(賄賂も含めて)
かえって時間とお金がかかり、あまり期待できないらしい。

こんな感じで、仕事をはじめるとなかなか旅行では見えてこないその国のハードルが見えてくる。

でも同時に見えてくる可能性もあるし、きっとあるって思いながらモノ作りをしている。

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