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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

秋冬新作、風纏う。

2017.08.21

ついに今日、2017年AWの新作をみなさんにお伝えしたいと思います。

コンセプトは「kazematou —風纏う—」です。

ブログなので、ちょっと口では伝えきれない
背景を書きたいなと思っています。

毎シーズン私がモノを作るときのテーマは「自然」がとても多いです。
だいたいの場合は、途上国の大自然から着想を得ることが多いのですが、
今回は東京のビル街並を歩いていて空を見上げた瞬間が
きっかけになりました。

「この空もバングラとつながっているんだよなあ・・・。」

『当たり前でしょう?』って感じなんですが、
この商品を作り始めた当時の私にとっては、当たり前じゃなかったんです。

実は昨年7月に起きたテロをきっかけにバングラへの渡航を回避せざるを
得なかったことが大きく商品開発への気持ちも環境も変えました。

自分を育ててくれた国で、日本人も標的であると言われた思いは言葉に
するのが難しいくらい辛かったです。

でも、当然企業なので、新作のカレンダーは決まっていて、
開発のスピードも質も落とすわけにはいかない。

私たちは、急遽、日本の本社から歩いて5分のところにデザインルームを借りて
ミシンを2台、革漉き機を1台設置した。

でも、型紙を切ろうとしても、なかなか手が動かなかった。
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悪い事って結構続けて起きて、2016年の年末に工場長のモインさんがテロをきっかけに
家族の安否を思いオーストラリアへ移民することが決まった。
(写真右がモインさん、左がマムンさん)
スクリーンショット 2017-08-16 19.48.49

彼は私にとってはバングラデシュのヒーローで、工場にいるとモインさんが
社長で私がその下でデザイナーとして働いているんだって感覚だった。

朝礼で彼が「次の出荷もがんばろう!」とか号令をかけるたびに、
工場のみんなと同じように「イエッサー!!」って思わず言っちゃうんです。

それくらい私にとっては、彼がリーダーだった。そんな彼が去ってしまった。

「僕がいなくても大丈夫だよ。今マトリゴールは強いから。」

正直、そんな言葉なんて聞きたくない。
ふざけるなって思う気持ちもあった。

でも私、モインさんのこと好きだから笑顔で送り出した。

そうしたことが重なって、10年目っていうのは死ぬほど辛かった。

起業して10年の生存確率は6.3%らしい。

そんな時に限って、普段気にしないようなデータが目に入ったりする。

(力が湧かない・・・・。)

フラフラ、ブラブラ、何も目的なく銀座の街を歩く時間が増えていた。
嫌でも他社の新作が目に入りながら、どうでもいいや、って思ってしまう自分もいて、
そんな中で私は、空を見た。

スクリーンショット 2017-08-16 19.52.33

人間って不思議で、私その時に
ビル街から見える空の形って、「なかなか面白い形をしているな」って思ったんですよね。

切り取られた形。

それでその時に「a piece of sky・・・・」って
言葉がなんとなく浮かんで、今見える幾何学のような不思議な空の欠片を
形にしてみたらどうなるんだ?ということに興味が湧いた。

そしてその瞬間、隙間風が吹いて、それが
なんだかジメーってした自分の気分とすごい対照的で、
爽やかで、軽やかだったのがめちゃくちゃ記憶に残ったんです。

そのとき「ああ、私、そんな風に、なりたい。」

デザインルームに戻って、私は無心で布を切り刻んでいった。
記憶がホットなうちに、って焦りながら。

どんなものができるのか私自身も分からなかったけど、とにかく次は革を切って、
縫って、最終的な型紙の形は企業秘密なんですが、
ぐちゃぐちゃカオスなところからスタートした。

pattern2

様々な試作品を経て、作り上げたもの、それがこのリュックです。

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風を纏うような軽快さで、自然体で歩いていこう。
辛い時に、自分自身に一番言い聞かせたかった言葉を、形にしたんです。
https://www.mother-house.jp/event-campaign/kazematou/

サンプル開発がはじまって数ヶ月。
バングラデシュの状況はよくなったとはまだまだ言えませんが、
最終サンプルを仕上げる時は、バングラに行けました。
到着していつものようにムーンとした熱気に溢れたあの空港で、
「ああ、帰ってきた!」って思えた。

そして今月、自社工場のスタッフが200名を超えました。

集合

今思うと、ジャンプするために沈んでいた1年間だったんじゃないかって
思える。

うーん、正確には、そう思いたくて、乗り越えてきたんだと思う。

8月は特に一年の区切りではありませんが、この新作をもって、
Newマトリゴールの誕生だと私は捉えていて、
自分自身もなんだかとっても強くなれたように思うんです。

ということで、New山口、今日36歳になりました笑。
 
お気づきかと思いますが、だからブログもNewにしました笑。
(このバナー写真のテーマは、ブログをいつも書いている時の私の表情やポーズです。) 

本当に不器用で、どうしようもない自分であることは変わりませんが
36歳の私も、自分の身の丈に合わない夢を追いかけていきたいし、
私は、やっぱり、レッテルや先入観にまみれた世界から、
光る原石を見つけられる自分でいたい。

そのためなら、洞窟でも山の奥地でも行ってみたい。

マザーハウスだからこそ、こんな哲学をもっているからこそ、
あてられるスポットライトがあるんじゃないかって、信じて
みんなで歩いていきたいと思います。
これからも、どうぞ宜しくお願い致します!!

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