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山口絵理子の日々思うこと。

店長さんが工房にやってくる!

2017.07.22

人事の研修というのは企業の文化そのものだと思う。

私が代表をしているブランド、マザーハウスでは店長・マネージャー研修は海外研修をする。

私たちの生産現場である途上国が研修先。

名前は「ファクトリービジット」。

更に行くだけじゃない。途上国の工房に行って、生産現場に突入し、
作っている人とモノ作りをするというかなりディープなもの。

既に国内21店舗、21人といったら受け入れる側の負担も大きい。
去年もやったが今年は、半分に分かれて、
更に行く国も生産地の広がりと共にネパール・インドネシア・
スリランカから選べるようになった。
(バングラは治安が悪く・・・涙)

その中から今回は、インドネシアのジョグジャカルタに行った店長さんたち、
受け入れた生産側の職人さんたちの話しをお届けします!

インドネシアでは線細工の18金でジュエリーを作っている。

職人も5人になったが、それぞれ各個人宅で作っている状況だったが、
生産も1年がすぎ、私たちは自分たちの工房を建設するという挑戦を
している真っ最中だ。

その建設がまだ70%の段階とは言え、なんとか瓦ものり木の壁もほぼついた。

そんな状態のところに、我らが店長さんたちがやってくる。

そわそわして頭が真っ白なのと感激で職人は楽しみにしている反面、
実は店長さんたちとの対面よりも前に、これまでバラバラだった
5人の職人が初顔合わせをする、というのもまた、ドキドキの原因だった。

それぞれ技術も職人歴もちがう。ただ、マザーハウスという1つ屋根のもと、
ジョグジャカルタという小さな街で、つながっている。

7月15日研修初日、工房でこれまで5人の職人が初めて集結した。

花系のモチーフが得意なワリヨさん、強みのあるテイストを得意とするヤントさん、
指輪、石留めもオールラウンドのアグスさん、最も若手の職人ウィドドくん。

そして、最も年長で、18金をとかしてつくるトップの職人ムギさん。

最初は非常にぎこちない顔合わせからはじまったが、店長さんがそんなシーンに登場。

もうその場の多様性は半端ないが、仕切らないといけないと焦る笠原現地マネージャー。

でも常に、みんなをまとめるのは、「モノ作り」であり、変わりはない。

私たちのジュエリーの初代の作品となったシルバーの花弁というネックレスを、
職人のワリヨさんが指導し、店長みんなが手作り体験をした。

みんな見よう見まね、言葉だって通じないが、それでも通じるものがある。それがモノ作りの醍醐味だ。

ここでハプニング。
結局、店長さんたちを教えるのはワリヨさんだけでは足らず担当ではない
他の職人みんなが先生となり一斉に皆に作り方を教えるという状態になった。

最後のロウ付けはムギさんが担当して終了。

スタッフのみんなは

「思ったより 難しかった!」

「模様が逆になってしまった!(これは検品で弾かれる対象!笑)」

など作る側も教える側もみんなが、同じテーブルで、同じ難しさを感じ、
同じように楽しめた時間が事業をスタートして1年半でこのジョグジャカルタに生まれた。

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ランチ時間になった。
店長さんと職人のつながりは、更に濃く続く。

インドネシア料理の昼食をゴザに座り車座になって今度は
職人さんにいろんな質問が投げかけられる。

「何歳?」

「家族構成は?」

「趣味は何?」

花弁作りでリラックスしたのか答える職人も余裕がある。

「何歳に見える?」

「孫もいるんだぜ」などなど。。

そして次は私たち店長さんたちから職人さんに向けて、
お客様やお店の状況がとても細かく報告される。

その中では、何が何個売れて、どんな風にお客さんが喜んでくれたのか、
という内容がびっしりつまっている。

一番人気のネックレスを作っているワリヨさんは、売上げ数を聞いて大喜び!

またムギさんはブライダルリングの今までの生産数の報告を受けてぼそっと
「もっと作った気がしたけどな・・・・」と。

マザーハウスの本質は、国境を超えて、円を描くこと。

身につける人と、作る人をプロダクトでつなぐ、というのは言葉として
聞こえがいいが、実際にそれを行うのは、相当な時間と熱量とお金と
未来へのビジョンを必要とする。

でも私たちはある程度の利益があがっている今、真っ先に投資案件として
実施したのはこのファクトリービジット全店長・マネージャー研修だった。

なぜか。

本当に作りたいものはなんだろう。なぜマザーハウスが生まれたのだろう。

途上国と呼ばれる端っこにいる国で起業を決め、11年4カ国で生産をしている。

常に感じる大きいものが更に大きくなる世界、富めるものが全てを
コントロールする世界に対して、私たちは個別の国、個々人の
ミクロな力に賭けているんだと思う。

国際社会から見れば、ジョグジャカルタやカトマンズ、
コロンボなど、メジャープレイヤーになれずに何の存在感もない。

このままでは押しつぶされ、流されてしまう、非常にミクロな現場に立ち、思うこと。

それは、強い、弱い、大きい、小さい、という経済的な尺度では
決して計れない「個性」の美しさ。

そこに気がつけたら世界はきっともっと、輝くはずだと私は思う。

そんなことをちょっとでも感じてくれたら、と願いつつ、
これからも研修は続けていきたい。

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