MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

革さん。

2017.05.03

ストールのサンプルで頭がカシミアやウールといった糸だったのに
来週からモルシェドバングラ職人がくるということで、3Dの立体物へ切り替えつつ、
それぞれの素材の個性をより楽しめている日々。

どの素材も、うなるくらい、個性があって、私は個人的に研究とか図鑑とか大好きなのですが、
読んでいると「本当に?!」「すごいな・・・・」とか感動がつきないわけです。

その度にマニアックな感動を分け合いたい!と思うのですが、おかしな人だと更に思われるため、
1人でニヤニヤしている。

この前休日、友人と朝食を食べていて、私が着ていた麻のシャツをほめてくれたので私はすかさず、

「ねえねえ、糸の撚りって左向きと右向きがあるって知ってる?!SとZっていうの。
リネンはどっちだと思う〜?!」と満面の笑みで聞いたら、
注文をするため店員さんを呼んでいた・・・。

そうだ、私にはこのブログってものがある、と気づき、
今日は革について本質的に思うことを書こうと思う。

「革って生きている。」っていうのは私の哲学であるし、
だから出来上がった鞄が変化することは至極当然のことだと思いながら作ってる。

昔は、動物のお肉は食べるけれど残った皮は腐ってカチカチになって廃棄していた。
でも人間ってすごい。

そこから、腐らないように工夫して、柔らかくしようとか、研究と進化の歴史を重ねて、
今、私たちの身の回りに役にたっているんだから。
いつも思うんだけれど、最初に皮を革にした人とお話ししてみたい。
きっともったいないなあーって思ったんだろうな・・・・。

とはいっても、革以外にもたくさんの素材があるわけで私自身ジュート(麻)から
スタートしたため、革の魅力は後から学び始めた。

でも魅力よりもずっとずっと大きなデメリットや問題点にまずは圧倒されたのが事実(涙)。
何回、なめし工場で愕然とし、何万という数の革をだめにしてしまったかは
思い出したくもない。

「なんで一枚ずつこんなに違うの!」

「なんで使えない部分がこんなに多いの?」

という革本来の個体差の違い、傷などによって使えない部分の多さ。

色落ちしない革は存在しないのに完璧を求められる事実。

香港のお客様で、「どうして買ったときより形が崩れるんですか?」と言われた。

当たり前だよ、って思ったんだけれど、「いいバッグ」の定義は、
コーティングでガチガチにした形状記憶性を求める人や国もやっぱりとても多い。
それが変わらないブランドらしさ、っていうイメージも強いんだと思う。

その度に、人間と同じように素材にも役割があるんだなって思う。

コーティングされない革には自然の革のよさがある。

たくさんのデメリットや問題で何度も頭が割れようが、
触れたときの感触、温かみの魅力はそれらを乗り越えちゃうものがある。

バングラのレザーについていうと、特に弾力性と伸縮性が大好きな部分。

外からの力で変形を記憶する力を可塑性っていうらしい。

使っている人にあわせて、体に馴染むようなカーブになったり癖がでるのはそのためなんです。

だから、持つ人によって、確実に形はかわる。

それが好きなのに、それがだめだと思う人もいる。

好きな理由は、
持ってくれている人が、
いつもの癖、いつも入れているものたち、どんな手段で目的地にいき、
どんな場所にバッグを置くか、色んなことがバッグから見えてくるのは、
その人と一緒にバッグが生きているからなんだと思うんです。

そう思うと、私、ただのバッグを作っているんじゃなくって、
持つ人の友達を作っている感覚になれるから、それが嬉しいっていうか、作る気持ちを支えている。

だからこそ、1人でニヤニヤしちゃうことも、なんでも話せるお友達になれるバッグを作るのが私の目標。

最近発表させて頂いた、なめし工程を更に進化させたバッグ。

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それと大事なこと。
生きているので放置されると人間のように乾燥してしまったりは当然します。
だから、ちゃんとケアするって、とても大事な考えだと思っていて、全店オンラインでも対応しています。

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