MOTHERHOUSE

MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

ウィドド君の窓。

2017.03.04

インドネシア、ジョグジャカルタ出張3日目、

毎朝私は、危ないバングラデシュ以外は、早朝に起きて散歩をしながら、
「今日何作ろうかな・・・」ってデザインを考える。

自然とそれぞれの国の日の出を毎日見ている。

ジョグジャカルタは私が働くバングラデシュ、ネパール、スリランカ、台湾、香港、
日本の中で一番太陽が強いような気がする。

日本の太陽は出てきてもやや謙虚な感じだけれど、ジョグジャカルタは日が
のぼったらすぐに「俺の時間だ!」って言っていそうだなって感じるのだ。

そんな太陽が強い場所なのに、私たちの職人さんの中でその恩恵を受けていない人がいた。

私たちのジュエリー工房のリーダーであるムギさんに、最近弟子入りをしたムギさん宅の隣に住む
ウィドド君。

最初彼のおうちに訪問してサンプルを作ろうとしたときびっくりした。
「なんでこんな暗いの?」

彼の家の窓はガラスがなくって、木の窓を開けると、鳥が入ってくるし、
風で金鑞が飛ばされるし全く仕事にならないという。

”ガラスの窓にしたらいいじゃん”と考えるが、ジョグジャカルタの家々は玄関が開けっぴろげで
窓があってもあまりガラスをはめ込んでいる様子は見ないのでした。
(高いのでしょうか・・・?)

だから昼間なのに結構暗い中で電球をつけてやっているのがとても気がかりだった。

「まだ30代なのにすぐに目が悪くなっちゃうよ。」

ジュエリーは目が命。
結構前にそのことについて話していたが彼は面倒くさいのか、
何も変えようとしなかった。
mado

(今日こそは。)

新しいサンプルを作りながら私たちは一つの作戦に出た。
(アクリルボードだ。)

ウィドドさんが真剣にサンプルを作っている間の一瞬、彼の窓のサイズを計り、
アクリルボードを市場で調達。

「よし!買ってきたぞ!!」

ウィドドさんは目をパチクリ。

「なに?」

「窓だよ。光が必要だ。」
mado2
パチクリし続けながら少しずつ彼は現実が理解できてきた。

嬉しそうにアクリルボードを一緒にセットはじめる。
だが問題。少し小さく裁断しようとなったがなかなか切れない・・・・。

私たちが困っていると物音が聞こえたのか、
師匠のムギさんが大きなノコギリをもって参戦してきた。

「これなら切れる。」

師匠は、金も銀も切れるが、アクリルボードも切れた。

「さすがムギさん・・・・」
アクリルボードを切る目が、金鑞を溶かす目と同じだった。

最後に窓にはめて釘で固定をしてみる。

ウィドド君のパチクリした目がいよいよキラキラした目になった瞬間、
木の窓があけられ、外から太陽の光がシャキーンと部屋を照らした。

「やった!!!!」
みんなで大盛り上がり。

しかし、なぜか私は我に返ってしまった。

「ウィドド、、、明る過ぎて逆に集中できない?!」

私は相当勝手に改造計画を実践しておきながら、やり終わったら
部屋の変わりっぷりに急に不安になり、聞いた。

そしたら「うんうん。前からこの窓、なんとかしなきゃって思っていたから」って
嬉しそうに言って電気を消した。

「もうこんなものいらないんだ!!」って。

ここジョグジャカルタの一般的な職人宅では電気代や窓の設置のコストも馬鹿にならない。

小さいことかもしれないけれど、一歩一歩、最高のモノ作りに邪魔なものたちは
ポイポイ捨てていって、逆に可能性の光をぐんぐん吸収していきたい。

お客さんに届けたいのはやっぱり表層じゃないと思うから。

ステキな環境作りからはじまって、素材を作って、モノっていう最後のデザインまで
ぜーんぶが私はデザインだと思っています。

mado4

追伸:インドネシアの話しを書きましたが6日はスリランカでのジュエリー作りが
テレビ放送されるみたいです。
インドネシアとはまた違う個性モリモリのキャラのみんな、是非見てくださいね〜♪

追伸2: 明日日本に帰国して、3/12には、14時から本店におります♪
よかったら遊びに来てくださいね♪

関連するページや商品

メッセージを送る