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MOTHERHOUSE MAGAZINE
山口絵理子の日々思うこと。

ヤントさん。

2017.03.02

今日はジョグジャカルタでのジュエリー制作の一日。

相変わらずの暑さと湿度で田舎に車で1時間半。

ヤントさんという職人のおうちで一日ずっと試行錯誤した。

ヤントさんっていうのは本当に静かでボクトツとした雰囲気なのですが、
作るもののパンチが効いていて、本当に素晴らしい職人。

私たちが彼と出会ったときは、ちょうど息子さんが韓国に出稼ぎに行く準備をしていた。
寂しそうに送り出してから数ヶ月。

少し静かになった家の中・・・と思いきや、マザーハウスが繰り返すサンプル作りが
ヤントさんの職人魂に火をつけて、これまでのたくさんのジュエリーを生み出してくれました。

その中でも「胡桃」という名前のネックレスは、インドネシアで今一番人気がある商品です。

ヤントさんは、実は線細工というこの場所独特のものはそこまで得意じゃないんです。でも、だからこそ、「じゃあヤントさんができるものはなんだろうなあ」という視点から、
「胡桃」ははじまったんです。

だから面白いものができたなあって個人的には思っている。

私たちは、モノ作りを形から入っているわけではなく、いい素材や技術との出会いから
スタートしています。

でもヤントさんの場合は、「この人と出会えたから」という理由でモノ作りがスタートしています。

それくらい、いい職人さんと出会えるかどうかが一番の財産なんです。

じゃあ「いい職人さん」の定義ってなんだろうって自分の中で振り返るんですが、
それは決して「いい技術をもっている」とか「仕事が早い」とかではないなって私
たちの場合は思う。

結構個人的な感情が支配しちゃうのですが、「この人となら一緒に仕事をしたいなあ」と
思う人はいつも「素直」だなあと思うこと。

何事にも素直な人が私たちのモノ作りには合っていると思う。

その一:新しいものに対する恐怖よりも好奇心が勝っていること。
そのニ:自分がやってきたことを変える勇気を持っていること。
その三:そして、何より職人としての高みを目指していること。

こうしたことは私も色んな人と仕事しながら最終的に今の時点で
残っている条件。

もしかしたら職人さんだけじゃなくって全てのことに共通しているかも
しれないけど。
ヤントさんは一緒にいる時間が長くなる度に、私たちが投げるボールを確実にキャッチして、
投げ返してくれる。今は、それ以上の飛距離のものを投げようとしてくれる。

一番感動したのは、サンプルがどうしても終わり切らず、私たちが帰る時間になってしまう時。

宿題として彼が自宅兼工房でやってもらう流れになるのですが、
「できたよ!」と言って送ってくれる写真たちがあります。
そこにジュエリーのサンプルの下に定規が写っていてサイズ感が分かりやすいように
なっていること。

そんな小さなことに大きな感動があったりした。
私もそんな気遣いができるデザインを作りたいなあって思ったりした。

今日も、何度も何度も変更や、サイズ感に対する無理なリクエストが続いていたけれど、
嫌な顔一つせずに「やってみなきゃ分からないからやってみる」と言ってくれた。

私は散歩しながら思う。
デザイナーとして職人さんの「やってみなきゃ分からない」を何個これから思いつくかなあって。
それが職人さんの技術革新になって、お客様に届くことは証明済みだからこそ、
自分自身がいろんな変化球を投げられるようになりたいって思う。

今日はなかなか鶏の声のボリュームが大き過ぎたけど、自然の中から多くを吸収したい。
https://www.instagram.com/p/BRIZy0Ahwbd/?taken-by=eriko.mh

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