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モノづくりの現場からお届けする生産者便り

インド・ネパールの担当として、1年の半分以上を現地で過ごす田口ちひろ。モノづくりを職人たちのすぐそばで見つめているからこそ見える途上国の姿や、途上国駐在における心得・苦難など、リアルな声をお届けします。

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第73回 モノづくりの現場からお届けする生産者便り

インドの状況と心境

2020.07.05

こんにちは、田口です。

気がつけば、今年も折り返しですね。

7月に入り、インドは「アンロックダウン2.0」と呼ばれる期間に入りました。

新型コロナに対する規制のロックダウンに対し、
アンロックダウンは、段階的に規制を解除していく方針なのですが、
インドの感染者数は毎日増え続け、
今日の時点では世界4位(もうすぐにロシアを抜いて3番目になりそう)です。

3月からの厳しいロックダウンによって、
急激な感染の拡大は防げたとはいえるものの、
完全に抑え込むことはできず、
経済活動を再開している、というのが、
ざっくりとしたインドの現状です。

また、6月からは、
中国との国境地帯での衝突発生を機に、
中国製品の不買運動や、アプリ(Tiktokなど)の使用禁止を
インド政府が決定するなど、
新型コロナとは別の問題も大きくなっています。

一方で、私たちのコルカタ工房の状況は、
これは本当に販売チーム、お店に来てくださる皆様あってこそなのですが、
本格的に、とっても忙しい日々を送っています。

今季の夏のアイテムでご好評いただいている、
リネンのガウチョパンツや、
薄手オックスフォード生地のワンピースなど、
追加生産が入っているのに加えて、
発売後すぐに売り切れてしまったカディマスクも、
どしどしと、想いを込めながら生産しております!

そして、秋冬の最終サンプルの新規型が数十着、
次の春夏に向けたサンプルたち、
と、先週から来週にかけては、
生産現場では3つのシーズンのアイテムが入り乱れ、
毎日、良い意味でカオスな状況です。

もちろん、新しい生地や新しいパターンでの生産は、
常に問題が起きますし、
今でこそ安定してきたカディマスクの生産も、
はじめの頃は、生産チームと検品チームで、
「何で毎回違う仕様であげるんだ!!」
「何で品質基準を先に明確にしないんだ!!」
と、喧嘩(議論?)が止まりませんでした。

ただ、ロックダウン中に感じた、
先行きの見えない不安に比べると、
このカオスっぷりは、私にとっては心から嬉しいものというか、
ありがたいな、、と思わずにはいられません。

インド国内でも、
新型コロナによって、海外ないし国内からのオーダーがなくなり、
作るものがなくなってしまった工場が当たり前ですし、
オーダーがあっても、スタッフが故郷に帰ってしまって
工場が稼働できないところも、とても多いです。

そんな中で、
忙しくものづくりができて、
それをお客様にお届けできている今の状況が、
どれだけ恵まれたことか。

そして、
生活スタイルや、価値観がこれからさらに変化していく中で、
私たちの工房が生き残っていくためには、
今の状況を安泰だと思わず、
もっと視野を広げて、挑戦を繰り返していくこと。

目の前で起きる日々のトラブル(それは、このシャツの仕様が間違っていた、とか、
新しく調達した生地が頼んでいたものと違う、とか、
思わず白目になって倒れ込みたくなるようなこと)に向かいながら、
5年、10年先の工房のありたい姿を思い描いて、
リスクを想像しながら、目指す姿を実現させるためのアクションを
決めて行くこと。

それが私の仕事なんだなあと、
まだまだ全然できていなくて、落ち込みそうになりますが、
新型コロナで日本との行き来が出来なくなり、
どっしりコルカタに身を構えたことで、
見えてきたこともあるように、感じます。

できないこと、手に入れられないもの、
言い出したらキリがないですからね。

それよりも、今、私の目の前にいる、
コルカタ工房のスタッフたち、
彼らの手から生まれるお洋服や小物、
インドという(私にとってはとても興味深い)国の状況、
に向かい合おう、と思う、この頃です。

・・・とは言いつつも、
日本に半年以上帰らないのは、
最初にネパール駐在をしたとき以来で、
「次に日本に帰ったら食べたいものリスト」を、
どんどん増やす日々笑。

まとまりのない文章になってしまいましたが、
とにかく、私は元気です!!

皆様も、どうか、体調などお気をつけて、
この夏をお過ごしください。

田口ちひろ

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