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モノづくりの現場からお届けする生産者便り

インド・ネパールの担当として、1年の半分以上を現地で過ごす田口ちひろ。モノづくりを職人たちのすぐそばで見つめているからこそ見える途上国の姿や、途上国駐在における心得・苦難など、リアルな声をお届けします。

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第62回 モノづくりの現場からお届けする生産者便り

コルカタチーム

2018.07.28

インド・コルカタの自社工房にいます、田口です。

今日は、秋冬アイテムの初めての出荷日。

はじめての春夏シーズンから、
秋冬シーズンが始まろうとしているのと同じくして、
生産側のコルカタ工房も、いま新しいステージに立ちつつある。

年始から山口を中心に立ち上がったコルカタ工房は、
はじめ3人から始まり、
4月ごろには10人になった。

順調に大きくなっているようにみえていた工房は、
実は、うまくいっていなかった。

5月あたま、縫製メンバー全員が
無断欠勤するという事態が起きた。

いまでもその真相は100%には明確ではないが、
メンバーの数人が、新しく設定した給与体制に不満をもち、
それに対して「出勤しない」というやり方で、
自分たちは納得していない、という表明をしてきたのだった。
(それも、その当時の新人メンバーも含む、全員で)

朝礼の時間の10時になっても、誰も来なかった工房。

せっかく始めた工房が、
またゼロに戻ってしまったのかと、
あのときの心臓が冷えるような気持ちは、
たぶんずっと忘れないと思う。

翌日に出勤してきたメンバーに向けて、
「事前の連絡なしに無断欠勤したら、次は辞めてもらう」と
強く伝えて、彼らの不満であった給与制度は、
議論の結果、元に戻した。

その後も、盗難事件が2度起きたり、
工房が来週も続けられているかも
分からないような状態が続いていた。

そしてその5月末に、立ち上げメンバーのアビシェが退職し、
新しくスシルが生産管理リーダーとなったが、
6月は信じられないくらいに生産性が落ちた。

オーダーとは違う枚数のシャツが出来上がり、
縫製メンバーは「スシルは分かっていない」と不満を言って、
生産工程も工房の雰囲気もぎくしゃくしていた。

それでも、スシルは地道にメンバーとの信頼関係を結ぼうと、
生産フロアに張り付いて、
彼なりに小さな改善を続け、
そのスシルを、スヤシがサポートし続けた。

そして、唯一の日本人スタッフ後藤が品質管理側をすべて引き受け、
彼女はチームのムードメーカーとしても、
みんなと分け隔てなく、
常にコミュニケーションを取り続けた。

毎朝10時に必ず朝の朝礼をして、
みんなでひとつのテーブルを囲んで、
一人一人の顔を見ながら、
昨日の振り返りと今日のターゲットを話し合う。

ちゃんと挨拶をする、
声を掛け合う、
悪いときはきちんとNOと良い、
良いことがあったら、みんなで喜ぶ。

そんな、ひとつひとつだけを見たら当たり前ともいえるかもしれない、
小さな言動が、積み重なっていって、
今月、工房は過去最高の生産性を記録している。

入れ替わりが激しかったスタッフも、
今月は退職者ゼロになった。

もちろんまだまだ理想の工場には程遠いし、
生産性が上がっても検品でNGになるピースが本当に多くて、
根本的な改善はまだまだ必要な状態。

それでも、やっと「チームコルカタ」と胸を張って言える、
個人の集合体から、
ひとつのチームになっていると、心から思える。

5月末には想像できなかったところに、
この短期間で来れたのは、
スヤシ、スシル、後藤の地道な現場での頑張りの成果です。

私は彼らの可能性をもっと引き出せるようになりたい。

生産の問題が解決したら、
今度は販売をいかに頑張るか、という
別のハードルに今は直面しているけれど、
一歩一歩、コルカタチームと販売チーム、
絶対にあきらめないで前に進んでいきます。

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