PROJECT

ネパール地震に対するマザーハウスの取り組みについて

2015年4月、ネパールで大地震がありました。 皆様にはご心配をおかけする中で、応援のメッセージを頂き、誠にありがとうございます。 ネパールのカトマンズに生産拠点がある私たちは、ネパール人のスタッフ、仲間と共に、ストールや草木染めの商品を作っています。 一企業としてできることは限られていますが、まずは生産者の安心安全な住居環境の整備と、NGOと連携を取り、援助が届きにくい村々への救援物資の提供などを行っております。 確かに被害は大きいですが、工場での生産を絶やすことなく、引き続きお客様へ温かい商品をお届けできるよう支援とモノ作りの両立を目指して参りたいと思います。 引き続き本ウェブサイトで報告をさせてください。

株式会社マザーハウス 山口絵理子

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支援内容

マザーハウスでは、現地生産者支援と緊急支援の二つの活動を行っています。
その際の収支と内訳を報告いたします。

収支8月22日段階

収入 4,045,299円
支出 3,841,477円

収入

ソーシャルポイントカードからの資金拠出

マザーハウスではお客様会員カードとして、ソーシャルポイントカードを発行させて頂いております。
こちらのカードはお買い物で25ポイント貯まりますと1500円分がお客様のお買い物の割引に、1000円分が社会貢献活動に充当されるというカードです。
ソーシャルポイントカードについてはこちらから

社会貢献ポイントは、バングラデシュでのデザインコースの設立費用に充てるために準備をしてまいりましたがこちらから300万円を今回のネパール大地震への支援に拠出することを決定いたしました。

ソーシャルポイントカードからの資金拠出 3,000,000円

ネパール商品の売上10%、One day for Nepalからの拠出

4月29日から6月30日までの期間、ネパール製品の売上の10%を生産者支援金として拠出し、私たちの生産を行っている生産パートナー及びスタッフのサポートに使わせていただきます。
(これに伴う価格変更等はありません。また、期間は6月30日までを予定しております)

またOne day for Nepalでは、日本、台湾、バングラデシュのマザーハウススタッフが有志で一日分の給与を提供しました。

ネパール商品の売上10%、
One day for Nepalからの拠出
1,045,299円

支出

現地生産者支援

現地提携先工場をまわり、それぞれの被災状況をヒアリングした結果、関係するスタッフ約100人のほぼ全員の家族や親せきが被災していることが分かりました。
震災後、間もない中、現金での見舞金が最も有効かつ望まれていると判断し、金額と支給方法を決定しました。

直接手渡しできるスタッフには、現地滞在中に渡し、そうでないスタッフには本人のサインと 引き換えをすることが義務付けられています。
また生産工場自体へのサポートとして、 各提携先工場に工場復旧金を支給しました。
それぞれの工場は大きな被害はなかったものの、一部壁が崩れてしまったところもあり建物の補強などに使用される見込みです。

生産者への見舞金(98人の生産者) 1,176,000円
工場復旧金 120,000円

緊急支援

震災後に行った現地スタッフへのヒアリングの結果家屋の倒壊によるテントや、電気機器・飲料水などの生活用品そして医療品などが至急必要ということがわかりました。

その結果、今回現地での急を要するライフラインの整備(仮設テントの設営、水、医薬品の購入等)ボランティア活動などの支援事業を行うことになりました。

内訳
  • 物資配布(医療品、ボランティア活動での必要備品、浄水器など)
  • スタッフ渡航費用
  • 現地ボランティア活動費用
  • 家を失った人へのシェルター建設費用
  • ワークショップ開催費用
  • 村の復興支援費用
8月22日段階
2,545,477円

ネパール現地活動レポート

5/15ヌワコットから繭が届く

私たちの商品のひとつ、ローシルクストール(手紡ぎの絹の糸で手織りされたストール)は、原材料の繭もネパールの村で養蚕されたものを使用していますが、今回の地震ですべての養蚕エリアが被災しています。 もともと5/14に村のひとつを訪問する予定でしたが、5/12に大きな余震が発生し、土砂崩れの危険性が非常に高くなったことから、訪問を見送らざるをえなくなってしまいました。 そのような中、ヌワコット郡にある村から、半日以上かけて、そこに住む女性たち5人が震災前に収穫していた繭を運びにカトマンズまでやってきました。 ストールを生産しているモヒニディディたちが、その繭を買い取り、その場で現金と、毛布などの支援物資も一緒に渡しました。彼女たちも、シェルターの必要性を訴えており、被災エリアすべてのエリアでいま必要とされている印象を受けます。 そのまま女性たちは、その日のうちに村へ帰るといってバスに乗って帰っていきました。移動だけでも疲れそうなところを、余震が続くなか大量の蚕をもって自力でカトマンズまでやってきて、そのたくましさに圧倒されてしまいました。 買い取った繭は、今年の秋冬のストール用に使うべく、カトマンズ市内とキルティプルというカトマンズにほど近い町に住む女性たちがこれから手紬ぎの糸をつむぎだす作業にかかります。先日訪れたコカナ村の人たちも、避難生活は送りながらも自分の畑で育てている農作物の作業は行っており、もともとの仕事に戻っている状態です。もちろん安全が確保されていることが第一ですが、仕事を再開することは日常を取り戻すこと、収入を確保することを意味しており、生産活動を通じて復興を確実なものにしていきたいと思います。

5/14 コカナ村訪問

カトマンズ中心部から車で1時間ほど離れた「ココナ村」を訪問しました。 コカナ村は人口約1400人の比較的大きな村ですが、地震で約900世帯が倒壊または半壊し、12人がなくなりました。現在、約9000人の住民が、住んでいた村を離れて近隣の広い原っぱにテントをはって、避難生活を送っています。 いま一番必要なものは何かをヒアリングしたところ、まずあげられたのが、シェルター(仮設住宅)。地震直後は、テントでの生活で過ごしてこれましたが、ネパールは6月から雨期が始まり、台風のような非常に強い雨風になるときもあります。テントの多くが、キャンプで使用されるようなビニールシートで出来たものなので、雨期を過ごすことはできません。また衛生状況も悪化してくる恐れがあります。また、コカナ村の人たちは農業で生計を立てており(これは郊外の村のほとんどにあてはまります)、収穫した作物や来年用の種を安全に保管するためにもシェルターが必要なのだ、と話していました。 次に必要なのは、ウォータータンク。避難している場所には水道が通っておらず、水は不定期に政府が配給しに来ており(水がはいったタンクをトラックがまわって配給しています)、その水を保管しておく大きなタンクが必要とされていることが分かりました。 これを受けて、生産者支援アクションとして直接生産に関わっているメンバーで仮設住宅を必要としている人を対象に、材料費を全額負担することを決定しました。また900世帯という非常に大きな規模の支援が必要であることから、NGOピースウィンズ・ジャパンさんにコカナ村の情報を共有し、他団体も含め、シェルター建築に向けて支援が出来ないかを話し合っています。

5/7 PWJさんとの協働プロジェクト(クビンデ村への食料配給)

現地での支援アクションのひとつとして、先週、ピースウィンズ・ジャパンさんと協働し、シンドゥパルチョーク群のクビンデ村500世帯に支援物資を届けにいきました。 首都カトマンズを朝5:30に出発して、土砂崩れで車1台が通るのがやっとな山道を走り、お昼前にクビンデ村へ到着しました。 クビンデ村もほとんどの家屋が全壊または半壊しており、村の人たちは、屋外で避難生活を送っています。私たちが到着したときには、すでに大勢の人たちが広場に集まっていました。 村の人たちにも協力してもらいながら、お米25キロ、油1リットル、豆4キロ、塩1キロのセット(約3~4週間分相当の量)を500世帯にお渡ししました。 驚いたのは、配布する仕組みがすでに村のひとたちで自律的に行えており、事前に登録した名簿と本人の名前を照らし合わせて、チケットを配り、チケットを持っている人たちだけが列に並んで順番に受け取る仕組みになっていました。 今回はじめて、ピースウィンズ・ジャパンさん、そして、地元ボランティア団体と協働しましたが、それぞれの強みを活かして、単独では知ることができない情報共有ができ、より現地で必要とされている支援を、より確実に届けることが出来るのではと感じています。

5/6 緊急支援アクションの実施

5/1~5/7の期間、副代表山崎と田口で現地に滞在し、ふたつのアクションを実行しました。 1 生産者支援 私たちはストールやマフラーを中心に生産をしていますが、その生産パートナーを回り被害状況の把握、及び至急の支援を行いました。 ネパールでは、幾つかの生産パートナーを通して100名程度の生産スタッフが、マザーハウスのために働いてくれています。今回幸運なことにその全員の安否が確認され、工場も外壁の一部が壊れる程度の軽微な被害でした。一方で家が半壊もしくは全壊し、家を失ったスタッフが確認できただけでも5人、そして実家なども含めると20人程度が家に何らかのダメージを負っていました。 草木染バッグの生地を染めているアジットさん工房のスタッフのひとり、アムリタさんは、カトマンズ市内のパタンというエリアで賃貸で部屋を借りて暮らしていましたが、家は地震で全壊してしまいました。幸いにして、地震が起きた時、娘さんと一緒にとっさに外に出た為、無事だったものの、「とても怖かった」と余震が続く中で眠れない日々を過ごしていると話していました。 また自社スタッフサリナの家も、崩れてこそいなかったものの、屋根の煉瓦の一部が崩れ、家の中は剥がれた壁のかけらで一面が汚れてしまい、新しく建て直す必要があります。 また、カトマンズで働いているスタッフの多くは、被災地域も含めて地方から出てきている人が多く、家族のつながりも強いため、家族まで含めるとほぼ全員のスタッフが何らかの形で被災していることがわかりました。 そのため、一時見舞金として現地生産スタッフ平均1か月分の給与を支給することに決め、今回の滞在中にすべて提供いたしました。今後は更に生産スタッフ個々の被災状況を把握し、個別の対応を行っていきます。 2 物資の提供 初日、2日目と日本から持ち込んだヘルメットやマスク、浄水器付ペットボトルなどを首都・カトマンズで被災し、テント生活を余儀なくされている方々へ配布いたしました。 また、今回の地震では日本からも国際NGOが支援に入り活躍しています。その一つであるピースウィンズ・ジャパンさんが、最も被害の酷い地域であるシンドパルチョークに500世帯分の米・豆・油・塩をセットにして配布するプロジェクトを進めており、そのプロジェクトに対し、積み直しやパッケージングための拠点の提供、及び現地ボランティア30人の手配を行いました。 迅速な支援が必要とされている中で、災害支援のプロフェッショナルであるピースウィンズ・ジャパンさんと、長くネパールで生産を行い現地のネットワークを持っているマザーハウスとで組むことで、支援の効率を高めることができたと考えています。 今後もマザーハウスとして必要な支援を続けていきますが、難しいのは支援と自立のバランスでもあります。そのバランスを考えながら、今後もソーシャルアクションを進めていきたいと考えています。 そして、今回、印象的だったのは、生産している皆の安心した顔でした。このレベルの地震はネパールでは80年ぶりで、日本と異なり全く地震のメカニズムなどの理解もありません。その中で、今回日本のお客様の気持ちを直接届けられたこと、そして直接最初の生産者の支援をできたことは、ネパールの皆の勇気になりました。日本のお客さま、皆が心配し、そして応援していると伝えた時の嬉しそうな顔は印象的でした。 また、見舞金を渡す時も、これで家族の手助けができる、とかこれで家が無くても何とかやっていけると、震えながら話していたスタッフの姿がありました。 改めてマザーハウス商品やネパール商品をお買い上げ頂いている皆さま、そして温かいメッセージを送っていただいた皆さまに大変感謝しています。本当にありがとうございます。