貧しい国々のために何かをしたいと思いアジア最貧国であるバングラデシュに滞在した二年間。腐った政治家がはびこっているために、援助では到底世界が良くなることは難しいと知りました。そして一方で私達外国人を見ては、お金持ちなんだから助けてくれるだろうと手を差し伸べてくる現地の人たちを見てきました。
何が健全で持続的な方法なのか、悩んだ挙句に出した結論が「本当にお客様が満足して頂けるもの作りを途上国で行う」という、マザーハウスの事業でした。
2006年3月から始まったマザーハウスの夢への挑戦。短い期間に何度も味わった裏切りや、絶望や、流した涙。信頼してきた工場からの裏切りは私にとって完全に消えることのない傷となりました。しかし、それでも理想とする社会に対する情熱は、ふつふつと胸に中に湧いていて、絶えることはありません。
いつか東京、ミラノ、パリ、ニューヨーク、颯爽と歩く女性がもっているかわいいバッグの中に『Made in Bangladesh』のラベルがある、そんなワンシーンの実現に人生の全てを賭けたいと思いました。
よりよい社会に対するアクションは、日常生活のファッションの中でも実現できる。外見だけの価値で消費選択をする時代から、今後はモノの背景を知り、内面の美しさが求められる時代となる。そんな時代に、弊社は選ばれる企業になりたいと思うのです。またそんな消費活動が途上国と先進国の間にある物理的、精神的な壁を自然に壊していくはずだと思っています。
途上国の現状を変えるのは援助でも国際機関でもなく、私たち消費者であること。そのツールと成りえるプロダクトを今後も作り、お届けしていきたいと思います。
今後共マザーハウスをどうぞよろしくお願い致します。
私たちが何かを始めるときに、必ず口にする基準があります。それが、"ストーリー"と"デザイン"。私たちのプロダクトの裏には、この2つのキーワードが隠されています。
先進国の高度消費社会の中で、生活面、機能面での欲しいモノ・サービスは満ち溢れています。一方で、貧困問題や環境問題など社会問題を背景にしたプロダクトが急速に広がりを見せ、モノに溢れた高度消費社会を超えたポスト高度消費社会が訪れようとしています。私たち消費者も、自らの表現としてモノやサービスを購入する選択肢が増えてきているのです。
そのような環境の中で、私たちマザーハウスはポスト高度消費社会のフロントランナーにならなくてはいけないと考えています。そこで、貧困問題や環境問題などを単純な記号としてモノに取り込むのではなく、もう一歩進んだ形でモノを提供する。それが、 "ストーリー"、そして"デザイン"なのです。
本来、全てのモノには歴史があり、文化的背景があり、そして"ストーリー"があります。記号として社会問題を切り取るのではなく、モノの背景にある人が紡ぎだすストーリーを伝えること。また、プロダクトの形や色、機能面だけでなく、会社を新しい価値創造の媒体として"デザイン"すること、更に言えばモノを購入することを通じて社会を"デザイン"していく仕組みを作ること。それが私たちにとっての"ストーリー"であり、"デザイン"です。
そしてなにより私たちが大事にしていることは、お客様が私たちのストーリーの主人公になることで、社会に変化をもたらす"仕組みデザイナー"になっていただくことです。
モノの買い方、働き方、そして社会貢献の新しい価値を創出する会社を目指して、今後もマザーハウスは感動のあるサプライズを打ち出していきたいと考えています。今後ともマザーハウスを宜しくお願いいたします。
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