Eriko Blog
2009/02/24 そしてまた
その「何か」との出会いがあって、急に目の前が開けてきたような気がした。
そして次の日、私は農村に行った。
カトマンズは観光地化しているがこの町は色々な物作りがあるというから前から
行きたかったが、行こうとするたびに道路封鎖やストで行けなかった。
ついに行けると思った日、政府の人にそう話したらしけめっつらをされたが、
絶対に行きたいんです、と空港に向かった。
どの国もそうだが、やはり首都だけでは全く分からない。都市と農村の格差も
国によって違いがあり、それは国全体の問題と密につながっている場合が多く、
私にはとても興味深い。
カトマンズから飛行機で45分のある街だ。
着くなり、「バングラデシュだ。」と思った。
それくらい風景が似ている。
バングラデシュのような排気ガスの匂いはしないけれど、みんなサリーを着て、
リキシャに乗っている。
「わー!バングラだー!」
さわいでいると、すぐに今度はバングラの田舎の風景にシフトした。
牛がいっぱいいる。
この地はヒンディー教なので牛さんは寿命が来るまでのんびりと生きる。
「へぇ。だから牛肉ってネパール料理でないんだね。
あ、でもだったらなめし工場とかはないんだ。」
「それがあるんだ。大きいところは二つだけ。」
「二つ?この近く?」
「うん。」
「じゃあ行ってみよう!」
なめし工場は空港から車で40分くらい。
やっと着いたと思ったらなんと原始的!
野原の上で革を乾かしている。
中をのぞいてみてもバングラデシュとは全く違い、ドラム缶が三つくらいしかなく、
唯一ある機械らしいものはプレス機だけだった。
このなめし工場はバサンが5年前、輸出アワードを取ったときに一緒にやった工場だ。
そのころ開発した革を見せてもらったが、どれもとても素敵だった。
しかし今なおそれが最新の革となっている。
「どうして努力をして改善を続けないんだろう。」
その隣のなめし工場に行ってみる。少しは発達している機械があったが、
ここがネパール最大の輸出工場だというから驚きだ。
どれもウェドブルーといって最終加工をする前の革。これを中国やインドに輸出して、そこで最終に仕上げるのだそう。
付加価値を加えるならば最終加工までやってみた方がいい、とバサンは5年前に忠告したが
今なおこの最初の段階でストップしている。
そして世界経済が一気に悪化して、この二つの工場には数え切れないくらいの革のストックがあり、
中には腐ってしまっているものまである。
「どうしたらいいんだ・・・。」そんな風に口ではみんな言うが、顔は笑っているし、現に何もアクションを取っていない。
嘗て大忙しだった工場が今はドラム缶は回っていない。
もうストックが山のように積み重なっていて、蚊がいっぱいいる。
よくこんなところで開発研究をしていたなぁとバサンを尊敬するが、私は次の瞬間、
この原始的な工場で、本当に素敵なバッファローレザーとゴートレザーを見た。
とてもいい風合い。
とてもいい色だなぁと思った。
そしてスタッフの人が指を革の後ろにあてるとそこの部分が明るい色に変化する。
新しい技術じゃない、と言っていたけれど私には本当に素敵に見えた。
バッファローやゴートは皮自体が小さいため、バッグの業界では裁断時に無駄になってしまう
量が多く、牛の方が好んで使われているが、この原始的な工場で、そして
もう数ヶ月も回っていないようなドラム缶を前に、何か光が見えた気がした。
面白そうだ。この工場が生き返るのが見てみたいとなんだか強く思った。
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