Eriko Blog
2009/02/20 相対
11月に訪れた工場に再び向かった。
労働問題に関して、或いは停電などに関してどのように対応しているのか聞いてみようと思ったからだ。
そこはカトマンズ市内にある。
また同じような落胆をするのかと思いきや、工場にあがるとトントンカンカンと音がする。
ところ狭しと工員たちが一生懸命ファイルケースようなものを作っていた。
11月にきたときよりもずっと工員数が増えていた。
「どうして?」
そこの工場のオーナーの人はとても気さくな人で、「何とか無事だよ」と笑う。
どうしてだろう、どうしてだろう、と聞いても「ラッキーだよ。」と返事をされるだけで、
特に具体的な答えは返ってこない。
工員を見ても、特に何の変哲もない。
その後、少し不思議な気持ちで工場を後にしようかと思っていたところ、お手伝いさんみたいな
人がコーヒーを持ってきてくれた。
3つカップがある。
オーナーの人は一つを私にくれて、一つをその場にいた工員に渡して、最後に自分のものを
取った。
私はただ普通のその風景にショックを受けてしまった。
通常、工場のオーナーがワーカーというと言葉が悪いが彼らにコーヒーを差し出すこと、
更に言えば、自分が後から取ることは考えられない。
日本でも考えられない。
社長が自ら平社員にお茶を出すようなものだ。
そんな風景にあっけに取られ、工場を後にした。
その日一日考えていた。
今起きている問題、マオイストによる労働問題はマネジメント側にも問題があるんじゃないか。
そんな風に思えてきた。
問題っていうのはいつも両方に何か理由がないと起こらないよなぁ。
閉鎖した工場のオーナーは所謂途上国の典型的な工場だった。
オーナーはオーナー。マネジメントとして君臨するもの。
ワーカーはワーカー。
そこには人間的な触れ合いなんてものはなく、一工員がマネジメントと言葉を交わす時は
工場を去る時か、給料前借りをする時か、それくらいじゃないかなと思う。
ただし、ネパールで現在起きていることは、一概にマオイストが感情的な要求をしているとも
言えないのでは感じている。
その証拠に彼ら率いる政党が最も大きい政党になった。
労働者も人間なんだ、という強いメッセージは一部分だけ切り取ると単なる共産主義に
聞こえるが、給料もろくにタイムリーに払われないで肉体労働をしている大部分の労働者から
してみれば、至極真っ当なメッセージなのかもしれない。
ネパールという国を知れば知るほど、やはり今まで自分が見てきた世界が如何に狭く、
小さかったか思い知らされる。
感じることも考えることも本当に主観でしかないんだ。
正しいことなんて存在しない。
全ては相対であって絶対的な価値観なんてない。
私たちが行うマザーハウスというビジネスモデルも、絶対的に正しいと思ったことなんて一度もない。
取材で質問に答えるときも私は意識して「私は、思う。」という言葉を使っている。
その裏にあるのは、正しいのかどうか分からない。ただ、自分ができることをやるだけなんだという
少し悲しいけれど、開き直ってやらないよりはいいというそれほど格好よくない理由がある。
ネパールでも何をしたら一番いいのかさえ分からなくなる時があって、頭が痛くなるが、
やっぱり街に出て、また明日も正しいか分からない道を歩こうと思う。
コメント
コーヒーのやり取りでは僕は違うことを感じました。
「人としてもてなす」心の現れだ、と。自分の分を最後に取るのはその
心の現れと思います。日本的な考えかもしれませんが。でもね、こういう
社長さん、結構いるんですよ。そして、そういう会社は決まって不況に強い。
ひとを大切にする会社はやはり強い。マザーハウスもそういう会社に
成長してほしいですね。
勇気づけられました。
何を感じ、どう行動するかで人生って決まるし
人の人生まで左右してしまいますね。
コーヒーのやり取り、私もよく目にするし、国の違いもあるかもしれないけど、
そんなに不思議に思うことはないと思いますよ。
今までのことは、まっさらにしてみると、見えることも違ってくるかも。
がんばって!
コーヒーの件、日本でも見る光景だと思います。
いまアメリカに居ますが、アメリカの会社でも見ます。
その上司は部下から尊敬されていないかというとそうでは決してないですし。
そのような方たちは、同じ会社や現場で働く部下をとても大事にしているように感じます。
そのような行動が出来る上司は、逆に謙虚さを忘れずに居て素晴らしいと私は思います。
毎日楽しみに読ませていただいています。勇気をいつも有難うございます。
御身体大切にして下さい。
絵里子さん
自分を疑い続ける姿勢に感銘します。同時に、矜持を持ちながら進む道を模索する姿にココロ打たれています。
僕も「コーヒーという世界中のヒトをもてなすことができる素敵なモノ」を、今日も創り続けたいと思います。コーヒー一杯で、マネジメントとワーカーの壁を取り払うことも出来るのだから。
常に常に、その自分を疑い続けるっていう事を、僕も感じていたいと思っています。 なんなら忘れないように手の甲に刺青したいくらいです^^;
いつも山口さんの言葉、行動から勇気を頂いています。途上国から一流ブランドを創るなんて、理屈で考えたらどんな高名な経営者でも「無理」というようなことを遥かに飛び越えています。
これが、どんな凄いことなのか、とふつふつ最近考え、感じ、自分の糧にさせて頂いてます。
でも、だからこそ言いたいのですが、「絶対なんてない」、ってぼくは嘘だと思います。そういう傍で、「絶対」的な確信をもって断言されているんですから。ぼくは、山口さんが持たれている信念、思いの強さは絶対だと思います。謙虚さを保つために、相対的であるべき、とかは次元の違う話だと思います。
どうか、ご自分が持っている、疑うことができない、確信的な情熱はいつまでも失わないで下さい。
何か、怪しい、いやかなり怪しい(笑)書き込みになってしまいましたが、どうかこれからもご活躍を心から祈っています!
自分は、山口さんの、生き方、やろうとしていることは、素敵だし、正しいと思います。
ただ、ビジネスとして、多くの人に関わったり、ましてや、国民性の違う人達と関われば、大きな葛藤があるんでしょうね。
応援しています!
おうえんしてますっ
100の不可能から立ち上がった絵理子さん
じっくり見据えると見えてくる物があるんですね
諦めてはいけないと、強く感じました
本当に「絵理子さんなら出来る」と確信しました
日本からエールを送ります、大丈夫だヨ!!
絶対があるとしたら、多に共通する相対なのかもしれませんね。
絶対と相対が対している「人」を見つめたら何か発見できるのでは?
ネパールの人、一人一人が何に感情を抱いているのか?
何の為に日々を生きていて、その中にビジネスはどう関われるのか?
相手の感情に合うビジネスモデルを提供し、相手の相対の中にビジネスが内包され、
生活水準が、あるしきい値を超えた時に絶対が現れるのかもしれません。
ビジネスの為の人なのか?人の為のビジネスなのか?
今、ネパールで山口さんが経験し感じている事は、
単なる国民性の一言で片付ける事では無いのかも知れません。
つまり、もっとポリティカルでソリッドな出来事。
山口さん(つまりはMHのフィロソフィー)と言うアングルから、ビジネスと言うフィルターを通して感じる、ネパールの今。
山口さんのエントリーを読んで、何か凄くドキドキします。
山口さんお疲れ様です。
「何が正しい事なのか?」正直自分にも良く分かりません。
全ての事に答えは無いような気もします。
「正しい事とは何でしょうか?」
仰るように絶対的な価値観は無いと思います。
人それぞれに持ちうる価値観は違うものだからです。
だから「私はこう思う!」で良いのだと思います。
その考えに対してどれだけ多くの人が共感してくれるのかが重要な事なのではないでしょうか。
山口さん一人の想いから始まったマザーハウスがこんなに大きくなったように。
これは僕の価値観です。
山口さんのしている事は「絶対に正しい事」です。
体調には十分気を付けて下さいね。
珈琲一杯から、
マネジメントとワーカーの垣根を越えた所から、
今日気が付いた事って、本質を付いているのでは。
一つの出来事から、
上からも下からも、
斜めからも、
裏からも、
いろんな見方が出来る絵理子さんであって欲しいと思いました。
お体気を付けて!!
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